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医薬品産業ビジョン2021策定 革新的創薬と品質確保・安定供給へ「投資に見合った適切な対価の回収の見込み」を

医薬品産業ビジョン2021策定 革新的創薬と品質確保・安定供給へ「投資に見合った適切な対価の回収の見込み」を 厚生労働省は9月13日、「医薬品産業ビジョン2021」を公表した。副題は、「医療と経済の発展を両立させ、安全安心な暮らしを実現する医薬品産業政策へ」。創薬環境や後発医薬品の浸透など医薬品産業を取り巻く環境が変化した。特に、薬価制度改革が断行され、毎年薬価改定が2021年度から導入されたことは医薬品産業に打撃を与えた。こうしたなかで、医薬品産業ビジョン2021では、“革新的創薬”と“品質確保・安定供給”を目指すビジョンに掲げ、これらのビジョン実現には、「投資に見合った適切な対価の回収の見込み」が重要と強調した。課題が露わとなっている後発品を中心とした安定供給については、「経済安全保障」の観点の重要性も盛り込んだ。医薬品産業ビジョンの改訂は2013年以来、8年ぶり。

◎内外資問わず医薬品産業政策を推進

「世界有数の創薬先進国として、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医学研究や産業技術力の向上を通じ、産業・経済の発展に寄与する」、「医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へと引き継ぐ」―。ビジョンでは、今後5年から10 年を視野に入れ、2つのビジョン実現を目指して、医薬品産業政策を推進していくことを目指す。医薬品産業政策の推進をめぐっては、内外資の別を問わないことも明確に打ち出した。2つのビジョン実現に向け、①革新的創薬、②後発医薬品、③医薬品流通―の3点に焦点を当てた。

◎薬価制度の透明性・予見性の確保の必要性を明記

革新的創薬については、アカデミアやベンチャーなどとエコシステムを構築し、革新的新薬創出につなげることで、基礎研究から実用化の狭間の“死の谷”を克服する姿を描いた。「薬価制度の透明性・予見性の確保」についても言及。「製薬企業における新薬の研究開発への投資を促し、我が国における医療に新薬が早期に確実に導入されるようにするためには、投資の回収の見込みが重要」とした。「研究開発には、製品化に至らなかったものも含めた十数年にわたる研究開発期間を支える資金、製品上市後の安全性リスクに対する経営資金の確保、そして、今後の新たな革新的創薬のための投資費用なども必要となることにも留意が必要」としている。

新型コロナのワクチンや治療薬の開発の遅れも指摘される理由としても、「その一因としてワクチンや治療薬の収益や投資回収が見込みづらいことがあげられる」としている。こうしたなかで、「出口支援の一貫」として、定期接種化プロセスの効率化の実施や緊急時の国による買い上げ制度・諸外国において導入が予定されているプル型インセンティブの導入を検討することも盛り込んだ。

◎後発品 共同開発は規格揃えの在り方含めた見直し、安定供給は法的位置づけの検討

後発医薬品については品質問題や安定供給をめぐる問題が相次ぐなかで、「安定供給に関する責任強化」の必要性を強調した。共同開発の際には、それぞれの企業にデータの説明責任を持たせるほか、規格揃えの在り方を含めた見直しを検討することを明記した。医療用医薬品の安定供給の責務については、「供給予定数量の報告のあり方等も含め、法的な位置づけも含めてさらなる徹底を検討する」とした。現在は供給不足の状況を個別企業からの情報提供に頼っているが、「効率的な情報収集と適切な情報公表の仕組みについて検討する」とした。

◎医薬品流通 医薬品卸は流通コストを含めた納入価の妥当性説明を

医薬品流通については、「交渉段階から個々の医薬品の価値を踏まえた納入価交渉を行う単品単価交渉をさらに促進することが必要」と指摘。「流通コストも含めて、納入価の根拠と妥当性を医療機関等に説明し、協議を尽くすことも重要」とした。このほか、地域卸の在り方についても言及した。

◎厚労省内の医薬品関係組織体制強化の必要性も

医薬品産業ビジョン実現に向け、官民で、KPI8の設定・把握を行い、継続的に議論する必要性も強調した。具体的なKPIとしては、「グローバル売上高上位100 品目に占める日本起源医薬品の数」「グローバル売上高上位品目についての日本市場における上市順位と上市までのタイムラグ」などをあげたが、官民対話の実務者WGにおいて検討するとしている。

このほか、厚生労働省において医薬品関係の組織体制の強化を図る必要性も明記。「政府における司令塔機能の確立が必要であるとの指摘もあり、厚生労働省の体制の強化も踏まえ、厚生労働省と関係省庁で引き続き議論を行っていく」ことも盛り込んだ。

■後発品を中心とした安定供給 医療上も経済安全保障上も重要 今後施策立案へ

厚生労働省医政局経済課 林俊宏前課長(現・子ども家庭局保育課長)コメント

革新的創薬については、薬価制度改革があり、投資に見合った適切な対価の回収の見込みや予見可能性の重要性について明記し、認識として踏み込んだ。ワクチンや治療薬の投資回収の難しさも指摘されるなかで、国によるワクチンの買い上げも明記した。革新的新薬を日本にもたらすためには、投資が回収されることを見通せる環境整備が重要だということ改めて示した。また、医薬品産業ビジョン2013では、オールジャパン体制の重要性が示されていたが、内資・外資を問わないということを明記した。アンメットメディカルニーズを解消し、日本市場にいかにイノベーションをもたらすかが重要だ。

後発品をはじめとした安定供給は、この8年間で大きく変化した。後発品80%時代に入り、後発品は医療上重要な役割を果たす存在になっている。現在、供給不安が指摘されている吸入麻酔薬のプロポフォールや、新型コロナ治療に用いられる経口ステロイドのデキサメタゾンなども多くが後発品として供給されている。一方で、結果的にジェネリックメーカーが品質確保や安定供給に結果的に答えられていないなかで、どう改善していくかはとても重要だ。セファゾリンの欠品からはじまり、コロナ禍での供給不安と考えると、医療上も経済安全保障上も、現に生じるニーズとしても、今後の備えという観点からも安定供給の確保が重要だ。後発品については検討会も開き、手は打ち始めているが、今後施策として立案していかないといく必要がある。

医薬品流通は、古くて新しい課題と言われるが、それだけ難しい問題だ。後発品が普及するなかで、現場での単品単価交渉は難しさを増している。例えば、後発品では薬価が毎年のように下がり、安定的な流通が賄えなくなる水準にまでなっている。赤字構造であり続けることは適正ではない。医薬品は公的な財なので、必要な流通コストが賄える納入価を確保する必要がある。医薬品卸は、納入価について購買側にコストベースでの説明がまだできていないのではないか。そういうことを認識して、医薬品卸にも交渉にあたってほしいし、購買側もそうした認識が必要だ。

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