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厚労省 緊急時の薬事承認制度で検討開始 有効性は「推定」の段階で使用も市販後に確認求める

厚労省 緊急時の薬事承認制度で検討開始 有効性は「推定」の段階で使用も市販後に確認求める 厚生労働省は11月18日、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で、感染症のアウトブレイクなど緊急時の薬事承認制度について検討を開始した。現行の薬機法では、原則として有効性・安全性が確認されることが条件となっているが、新たな制度として、米国の緊急使用許可(EUA)などを踏まえ、安全性は確認するが、有効性は「推定」の段階で使用許可を出す、新たな類型を検討する。緊急時の対応としては、特例承認があるが、外国で流通している国で流通している医薬品が対象となっており、日本で創薬された医薬品については現行制度では対応できない。このため、新たな制度の創設で対応したい考えだ。同省は、年内に一定の方向性を固め、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。

◎米国のEUA、日本の再生医療等製品の条件・期限付き承認など参考に制度設計

厚労省はこの日の制度部会で、緊急時の薬事承認制度として、有効性・安全性については、「平時とは異なる考え方が必要ではないか」と指摘。緊急時に必要なデータとして、安全性は確認するものの、有効性は推定の段階で使用許可を出し、有効性・安全性を市販後に改めて確認する新たな制度の創設を提案した。承認の期限を設定し、使用成績調査などの保健衛生上必要な措置を行うなどの条件をつけることも検討する。米国のEUAや、日本の再生医療等製品の条件・期限付き承認などを参考に制度設計する。

発令条件については、現行の特例承認と同等の状況を想定する。なお、特例承認では、「国民の生命および健康に重大な影響を与える恐れがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するために緊急に使用されることが必須な医薬品等であり、他に代替手段が存在しない」ことと規定されている。具体的には新型コロナなど感染症のアウトブレイクや、原子力事故、バイオテロなども含む幅広い状況を想定する。

◎吉田審査管理課長 国内発の製品は「特例承認だけでは緊急対応できない」

新たな制度創設の検討に至ったのは、新型コロナワクチンが欧米に比べ実用化が遅れたためだ。緊急時の対応としては、特例承認があるが、原則として、有効性が認められ、有効性に比べて著しく有害な作用を有しないと認められる場合(安全性を確認)とされている。一方で、有効性を確認するためには、日本人を対象とした臨床試験が必要となり、時間がかかることも指摘されている。

実際、新型コロナのワクチンは海外に比べ、国内で後れをとったことが指摘されている。厚労省医薬・生活性政局医薬品審査管理課の吉田易範課長は、「国内の治験環境が不十分だったこともあり、感染状況もあり、国内治験データをとるのに時間を要した」と振り返った。

特例承認は、外国で流通している医薬品であることが前提となっている。吉田課長は、「仮に日本で先行して開発されるものがあった場合には特例承認だけでは緊急の対応ができない。そうした問題意識をもっている」と表明した。国内で一定のエビデンス構築が必要となることが想定されるが、新型コロナワクチンの開発では国内でデータを収集することの難しさも指摘された。吉田課長は、政府は6月に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」のなかで、「臨床研究中核病院の緊急時治験の要件化や治験病床等の平時からの確保」など、治験環境の整備・拡充が柱の一つになっていることを紹介。「新たな制度で、一定のデータが国内でもしっかりとれるような体制整備も併せて取り組んでいくだろうと思っている」と述べた。

欧米でEUAや条件付き承認に至ったワクチンや治療薬はいずれも、大規模な第3相臨床試験を実施していることに触れ、「有効性・安全性をどう考えるのかは、現実的に一定程度の有効性・安全性を担保しながら緊急に対応するというような運用を明確化できる形で考えている」と述べた。このほか、国内で初めて流通する医薬品となることから、「単純な有効性・安全性に加え、一定の品質の担保をどうするかということも論点だと思っている。品質を担保することは当然必要だが、緊急に対応しないといけないという兼ね合いをどう捉えていくかということで、技術的な対応を考えていく」との考えも示した。
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