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シーメンスヘルスケア AI搭載アプリケーションの開発3社と提携 医療DXの推進を牽引したい

シーメンスヘルスケア AI搭載アプリケーションの開発3社と提携 医療DXの推進を牽引したい シーメンスヘルスケアはこのほど、医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する目的で、AIメディカルサービス、エルピクセル、Splinkとそれぞれ提携した。11月12日の共同記者発表会で明らかにしたもの。今回の提携により、シーメンスヘルスケアの「チームプレイ・デジタル・ヘルス・プラットフォーム」(チームプレイ)上で提供されるアプリケーション群に、各社のソフトウェアやAIプログラムが加わる。同社の森秀顕社長は、「3社との提携により、医療DX促進に向けた医療サービスの提供を強化できることを大変光栄に思う」と強調。それぞれの企業の強みを有機的に組み合わせて医療サービスの発展に貢献する考えを示した。

◎グローバルで75以上のアプリを導入

記者会見で森社長は、ヘルスケア分野のデジタルデータの増加率は前年比36%に達し、IoTデバイス数も25%増加しているが、一方でヘルスケアデータの90%が統合不足で失われていると指摘。米国では3分の1の医療機関が患者情報を施設間で電子的に統合しているとしながらも、「日本では統計すらなく、各医療機関の個別の取り組みに委ねられている」と指摘した。

こうした現状を踏まえ森社長は、「当社の長年の経験と実績による柔軟かつ拡張性の高いインフラ、特にチームプレイを基幹プラットフォームとして提供していきたい。またデータの見える化を通じて部門間、組織間の相互運用性を高めて、日本の医療機関の大きな課題でもある業務プロセスの効率化にも貢献していきたい」と意欲を示した。

同社のチームプレイは、オープンで安全なクラウド環境を基盤に医療機関、医療従事者、患者、自治体、メーカーやそのパートナーを含むすべてのステークホルダーがつながり、有用なアプリケーションやより良いサービスの提供・活用を促進する狙いがある。例えば、メーカーやそのパートナーには開発したアプリやサービスをすぐに提供できる環境がもたらされる一方、医療従事者は必要なサービスをいち早く利用できるようになる。

同プラットフォームは検査パフォーマンス管理アプリケーション、AIを用いた画像解析などを擁し、国内で2100の施設に導入されている。11の自社製アプリケーションに加え、これまでに提携した3つの他社製アプリを提供している。今回の提携により、診断をサポートする3つの新たなアプリケーションを加えることで、これまで以上に幅広い領域での診療に貢献し、データに基づいた意思決定支援などにより、業務効率化と医療サービスの質向上に寄与するプラットフォームへと成長させていく考えだ。

◎保険診療の点数化でパートナー企業と共闘も

新たに加わるアプリケーションは、内視鏡画像解析ソフトウェア(AIメディカルサービス製)、医用画像解析ソフトウェア「EIRL Brain Aneurysm」(エルピクセル製)、脳ドック用AIプログラム「Brain Life Imaging」(Splink製)の3つ。

AIメディカルサービスは消化器領域のがんの根絶を目指して内視鏡AIの開発に取り組んでいるが、その第一弾として2021年8月に胃がん鑑別AIを医療機器製造販売承認申請しており、承認されればAIを活用した胃領域の内視鏡診断支援システムとして世界発となる。

医師で同社代表取締役CEOの多田智裕氏は、実際の胃がん鑑別AIのイメージ映像を投影しながら、「胃がんは専門医でも早期に見つけるのが困難で、報告では2割前後見逃されると言われている。しかし、国内100以上の医療機関から集めたデータをもとに開発した鑑別AIにより、検査中にがんの有無を早い段階で鑑別することが可能だ。今回、チームプレイと共に日本発の内視鏡AIの世界展開が加速できることを大変うれしく思っている」と述べた。

医用画像解析ソフトウェア「EIRL Brain Aneurysm」は、脳MRA画像から2㎜以上の嚢状動脈瘤候補点を検出してマークを表示することで、医師の読影をサポートするAIソフトウェア。医師単独で読影した場合と比べ、約10%の感度向上が認められ、2019年10月に深層学習を活用した脳MRI分野のプログラム医療機器として国内初の薬事承認を取得して販売を開始。新モデルを含めたEIRLシリーズは200以上の医療施設で導入されている。

一方、脳ドック用AIプログラム「Brain Life Imaging」は頭部MRI画像を解析し、記憶や学習にかかわる「海馬」領域の体積を測定・可視化し、受診者目線のわかりやすいレポートを届けることで気づきを促す脳ドック用AIプログラム。高精度な脳解析と脳の健康維持や将来の認知症予防のためのアドバイスを提供するなど、満足度の高い脳ドックの受診体験に寄与する。

シーメンスヘルスケアではパートナー企業のアプリケーションについて、「あえて領域や部位別にすみ分けを図ることはせず、ユーザー側がプラットフォーム上の数多くの選択肢からアプリケーションを選択できるような環境をめざす」(狩野氏)としている。最後に森氏は、「政府に対しても共同で働きかけを行い、保険点数によるビジネスの底上げを図るなど、パートナー企業とのアライアンスを強化していきたい」と述べ、医療DXの推進における国のサポートの重要性を訴えた。

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