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医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは8月9日、CSO事業を展開するEPフォースの株式を取得し、完全子会社化すると発表した。買収額は50億円。メドピアは、EPフォースの親会社のEPSホールディングスから10月3日付で、EPフォースの全株式を取得する。メドピアは、15万人以上の医師会員による臨床現場で得た知見を「集合知」として蓄積している。この「集合知」とEPフォースのMR人材を掛け合わせることで、医師一人ひとりのニーズに応じた情報提供が可能になることに加え、オンコロジーをはじめとするスペシャリティ領域で新たなマーケティングサービスが提供できると判断し、今回の株式取得に至った。 両社は2020年5月から製薬企業向け医薬品マーケティングサービスの共同開発を開始。メドピアのチャット型リモートコミュニケーションツール「MedPeer Talk」をEPフォースのMRが活用することで、メドピア医師会員の中から効率的に期待症例保有医師(=ターゲット医師)の発掘を可能とするなど、CSO事業の分野で連携して成果を挙げてきた。 EPSホールディングスは今回の株式譲渡について、「これまでの協業において成果を有するメドピアに、EPフォースを譲渡することが、EPフォースの持つリソースを最大化するための最適な方法と判断した」としている。 メドピアは今回の買収にあたり、金融機関から42億円を借り入れる予定。買収完了後のメドピアグループのコントラクトMRは、例えば医師会員の専門医資格、専門分野、地域、年代などで分析された臨床現場ならではの課題や知見を認識した上で、より効果的・効率的な情報活動を展開できるようにする考え。 メドピアは「MedPeer」を運営するほか、ウェブサイトやアプリケーション、ソーシャルネットワークなどデジタルツールを活用するノウハウを多数持つ。22年9月期の連結業績予想は売上84億円、営業利益10億円。今回の買収額は同社にとって過去最大となる。 EPフォースは、02年にアプシェとして設立されて以来20年以上にわたりCSO事業を主とし、付加価値の高いサービスを提供してきた。直近では専門領域に独自のネットワークを持ち、例えばオンコロジー専門MRの育成や病院研修などスペシャリティ領域で様々なサービスを展開している。21年9月期の売上は33億7800万円、営業利益3億7600万円。

住友ファーマの田口卓也常務執行役員・営業本部長は8月9日、記者懇談会後の個別取材で、“国内ナンバーワンメーカー”を目指す糖尿病領域について、「方針を大きく変えることや糖尿病領域から撤退するような考えは全くなく、これまでと変わらない」と述べた。GLP-1受容体作動薬のトルリシティについて、日本イーライリリーとの販売提携が年末に終了するが、「最も信頼され相談される企業」を目指すスタンスに変更はないと強調した。そのうえで、今年9月に長期処方が解禁になるツイミーグについて、「先生方の関心が非常に高いという手応えはある」と期待感を表明。「評価されているが本当に処方に結び付けられるかどうかが、我々の勝負所だと思っている」と語った。 田口営業本部長は、同社の方針について、「もともと売上高ではなく、最も信頼され相談される企業になろうということで、それがナンバーワンだとやってきた」と説明した。 ◎ツイミーグ処方拡大には「アクションが必要」 長期処方解禁で「ターニングポイントの年に」 期待を寄せるのが、21年9月に発売を開始したツイミーグだ。「非常にポテンシャルが高いと思っている。伸ばすことで売り上げもプラスにしていけると考えている」と自信をみせた。ツイミーグは、テトラヒドロトリアジン構造を有する新規作用機序の経口血糖降下薬。22年度第一四半期の売上は1億円にとどまったが、「先生方の関心が非常に高いという手ごたえはある」と話した。 そのうえで、「それが実際に処方につながっていくかというのはまた違うアクションを起こさないといけない。評価がいいとか、投薬制限が解除されるということで、自動的に処方が始まるわけではなく、リアルでもオンラインでも先生方に我々からアクションを起こしてスイッチを入れないと処方は始まらないということをMRには伝えている」と話した。特に、長期処方が解禁される9月以降を“勝負所”に位置付ける。トルリシティの売上が年末までであることも見据え、「ターニングポイントの年になると思っている」と話した。 ◎CNS領域ではラツーダ、ロナセンテープの早期最大化へ このほか、精神神経領域(CNS)については、「薬価改定が厳しいなかではあるが、発売2年目を迎えるラツーダが順調に伸びており、早期に最大化していきたい」と話した。発売3年目を迎えるロナセンテープについては上市が新型コロナの感染拡大と時期が重なったことに触れ、「最初非常に苦戦したが、使用経験をかなり先生方も積まれてきているので、処方も伸びだしてきた。早期に最大化していく」と意気込んだ。JCRファーマと販売提携を結ぶ遺伝子組換えファブリー病治療剤アガルシダーゼ ベータ BS 点滴静注については、「順調に症例を獲得できており、非常に期待している」と述べた。 ◎オンラインMR 面談時間増も「単独ではまだ十分ではない」 医師のニーズで人員拡充も 早期からデジタルを活用した情報提供活動に注力する同社だが、「デジタルを活用するからMRを減らすという考えではなく、先生方のニーズにお応えしていくという形を目指している」と方針を語った。VR(ヴァーチャル・リアリティ)を活用した情報提供にも、業界内でファーストランナーとして取り組んできた。パーキンソン病とレビー小体型認知症の情報提供に際して介助者の介助動作を患者本人と介助者の視点で体験できるコンテンツなどを提供しており、「リアルな体験することになる。その辺は(医療従事者からも)非常に評価されている」と話した。 情報提供活動におけるオンラインMRの活用については、「認知度が徐々に高まってきていて、昨年の倍くらいの面談時間となった。徐々に増えてきているが、まだまだ十分ではないと思っている」と話した。オンラインMRは、専用のトレーニングを受けており、「本社に所属し、情報的に深いものを持っている。そういう情報を得たいときには、オンラインMRと話をする。普段の情報提供にはMRという状況かなと思う。オンラインMRだけで十分という状況にはなっていないことだ」と話し、オンラインとリアルのMRの連携の重要性を強調した。現在、専任のオンラインMRは6人(CNS:3人、糖尿病:3人)だが、「先生方のニーズが高まれば人数は拡充していこうと思う」とも話した。
2022.08.09
2022.08.09

マルホは8月8日、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に伴うそう痒の治療薬・ミチーガ皮下注用60mgシリンジ(一般名:ネモリズマブ(遺伝子組換え))を発売した。成人及び13歳以上の小児に対して、ネモリズマブとして1回60mgを4週間間隔で皮下投与で用いる。中医協資料によると、薬価は60mg1筒11万7181円で、1日薬価は4185円となる。6年後のピーク時で投与患者数約3000人、販売金額は23億円と予想されている。 同剤は、中外製薬が創製したIL-31受容体Aを標的とする世界初の抗体医薬品。マルホが皮膚科疾患領域における国内ライセンスを獲得して開発した。 IL-31は、かゆみを誘発するサイトカインで、アトピー性皮膚炎に伴うかゆみの発生に関与していることが報告されている。同剤はIL-31とその受容体の結合を競合的に阻害し、アトピー性皮膚炎のかゆみに対する抑制作用を示す。 アトピー性皮膚炎は、かゆみのある湿疹を主病変とする慢性の炎症性皮膚疾患。かゆみにより患部を引っかくことで皮膚症状が増悪し、さらにかゆみが強くなるという悪循環(イッチ・スクラッチサイクル)を引き起こす。同剤がかゆみによる悪循環を遮断することで皮膚症状も改善し、患者QOL の向上につながることが期待されている。 現在、アトピー性皮膚炎のかゆみに対しては、抗炎症外用薬の併用のもと、抗ヒスタミン薬などが用いられるが、既存治療ではかゆみを十分にコントロールできない患者が存在する。このため、かゆみを標的とした新たな治療選択肢が求められている。

富士経済は、日本の不妊治療薬市場が2025年に200億円を突破するとの市場予測をまとめた。21年は144億円だったため、25年は21年比で約4割増しとなる。市場成長の主な理由は、22年4月に生殖補助医療が保険適用となったことで新規患者が増えるため。ただ、受診者が43歳未満であることや1子当たり6回までとする条件があるため、「(不妊治療は)自由診療が中心である状況が続く」と分析。25年の市場規模の30%程度が保険診療での販売額になるとしている。 この市場予測は、富士経済の専門調査員が参入企業や関連企業・団体などへのヒアリングのほか、関連文献調査、社内データベースを併用してまとめたもの。調査期間は22年5月~6月。 富士経済の調べによると、不妊治療薬の市場規模(メーカー出荷ベース)は、22年は169億円になると見込まれ、前年比17.4%増になると分析。23年以降は、23年187億円、24年199億円、25年208億円――と推移すると予測した。 22年4月から人工授精(AIH)や生殖補助医療が保険適用となって新規患者が増えるほか、月経障害治療薬や更年期障害治療薬の一部製品について生殖医療ガイドラインで推奨度A、Bとなっている治療薬が保険適用となったことから伸長するとしている。