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アステラス製薬・安川社長CEO 「イノベーションを破壊し、遅らせる社内要因を根絶する」 組織変革断行

アステラス製薬の安川健司社長CEOは6月29日、メディアのグループ取材に応じ、グローバルでイノベーティブを実現する組織変革に着手したことを明らかにした。これまで意識決定まで10階層近くあった深い構造を「最大6階層」に減らす。これにより時間軸やコスト面での改善を図る。一方、従業員の目標設定も部門横断のクロスファンクションで共通目標を設定。同時にボーナスは、これまでの「全社指標、部門指標、個人指標」を、「全社指標、個人指標」に改めた。部門間で生じる不均衡を是正し、社員全員で同じ成果責任を目指すような職務評価を実施する考えを社内に刻み込む。このほか、「Ignite」と呼ばれるリーダー研修を3000人が受講するなど、「経営計画2021」を実行できる人材強化に努めているとした。 ◎「何がアステラス製薬のイノベーションを妨げているか徹底して聞いてきて欲しい」 「全世界の様々なポジションの従業員に会って何がアステラス製薬のイノベーションを妨げているかを徹底して聞いてきて欲しい」-。安川社長CEOは同社の開発本部、研究本部、技術本部のフロントラインから3人(日本人2人、米国人1人)の精鋭を選び、特命の指示を与えた。 「CSP2021(経営計画)の作成は2020年頭に開始した」と振り返る安川社長。「イノベーションが連続して起きないと新薬は簡単にできない。それを大切にやっていく」と、次期経営計画への信念を語る一方で、社長就任時から気になることがあったと安川社長は振り返る。「他部門への文句、個人に対する文句。受け身で聞いているとマイノリティの問題なのか、メジャーな意見なのか。愚痴なのか分からない」-。続けて「雑音の多くは、受け身で聞いていても判断ができない。よってCSPを作り直すときに徹底して調査することにした」と明かしてくれた。 ◎調査期間は9か月 最初の半年で全世界を調査、残り3か月で問題点洗い出し 調査期間は9か月。最初の6か月をインタビューに充て、残りの3か月で問題点の洗い出しを行った。当初20項目程度の課題が報告されたが、これを9項目に絞り、社内で議論を継続した。安川社長もこの時の様子を「アステラスの次の経営計画の中では、アステラスのイノベーションを破壊する、遅らせるものを根絶するとの宣言をまず行った」と強調した。その結果が実り、21年5月26日に発表した「経営計画2021」のトップページには、「戦略目標」と肩を並べて「組織健全性目標」が掲げられることになる。 ◎部門目標の設定と報酬体系に問題意識 この日のグループ取材は安川社長自身がホワイトボードを用いて、イノベーションを実現する組織変革プランを解説した。安川社長が示した最初の問題意識は、部門目標の設定と報酬体系だ。「過去の目標設定は(部門別に)ボトムアップで行い、経営陣が押し返して何度かやり取りする。そして1年経ったら検証。それで報酬を決めていた。こんなことを15年間もやっていると、普通にやっても達成できる目標が設定されるようになってしまう」と述べ、「これでは劣後してしまうと危機感を感じた」と語る。一方で、人事面の不公平感も調査から明るみとなり、「同じ部長職でも責任範囲が異なっても“グレード20”となる。同じグレードも米国と日本で責任範囲が違うし、給与体系もバラバラだった」と述べ、ジョブグレードの統一が必要と判断したという。結果的に部長職以上で、共有の報酬構造を実現したほか、地域間の水準格差を段階的に縮小するなどの手立てを講じている。 このほか部門間の“サイロ化”が進んだことで、開発本部、研究本部、技術本部など部門ごとに目標が設定され、「いつか全社の目標とグループの優先事項が狂ってくる。そこばかりやっているとボーナスをもらえるから、そこばかりに目が行ってしまう」と指摘。むしろ、「新薬の開発プロジェクトは開発本部以外に研究や技術本部も関わる。開発後期には営業部門も入って一大チームとなる」と述べ、むしろプロジェクトベースのクロスファンクションで部門横断の共有目標を設定することが望ましく、報酬体系も全社業績に応じて決めることに改める判断をしたと明かしてくれた。 ◎営業部門 かつて地域・エリア重視、いまはグローバルでポートフォリオの統一戦略 営業部門にもこの考え方は生きている。安川社長は、過去は地域・エリアという概念があったために支店や営業所という単位で目標設定していたと説明。その上で、「いまはグローバルでポートフォリオが統一化されてきた。イクスタンジ、ゾスパタ、パドセフなどグローバルで統一の戦略を立て、国別に味付けして国ごとの販売戦略に落とし込む。昔のMRにように、どの地域の担当ではなく、プロダクトで持つようになる。むしろ本社の指示がダイレクトに届いて、フィードバックできるようになる。PDCAサイクルがもっと早く回るようになった」と語ってくれた。なお、4月からは全国119営業所も廃止され、国内のMRのエリア担当制を見直し、固形がん、血液がん、関節リウマチ、スペシャリティケアの4領域の製品担当制に改めたところだ。 ◎イノベーティブな組織変革で安川社長が参考にした「3冊」の本 安川社長は今回のイノベーティブな組織変革を検討する際に参考とした3冊の本を紹介した。1冊目は、サフィ・バーコール著「LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする」。「アステラス製薬をイノベーティブな組織にしたかった」と語る安川社長の“ネタ本”だそうだ。 2冊目は、ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授著の「The Fearless Organization (恐れを知らない組織)」。安川社長も「もっと大きなイノベーティブになるために大事なもの」と表現するように、チームや組織における段階的フレームワークを紹介している。 3冊目は、Liz Wiseman著「Multipliers」。「すべての人の才能を開花させるのがボスの役割だ。それが分かると資源がないとは言わない。その精神が書いてある」-、と安川社長は解説してくれた。

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GMP監査てこ入れ、厚労省がマニュアル作成へ  後発品企業の不正製造受け、研究班が年度内に案提示

複数の後発医薬品企業が不正製造を行い相次ぎGMP違反で行政処分を受けた問題を受け、厚生労働省は企業によるGMP監査のてこ入れを図る。医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課が厚労省研究班に依頼する形で、...

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アジアの再生医療等製品市場 22年に100億円突破、30年に662億円 富士経済

市場調査会社の富士経済は6月28日、日本、中国、台湾、ベトナム、インドネシアのアジア5エリアの再生医療等製品市場が、2022年に100億円を突破し、30年に662億円まで拡大するとの市場予測を発表した。再生医療等製品のうちCAR-T細胞製品や、テムセルやアロフィセルなどの細胞治療型再生医療等製品の成長が著しく、CAR-T細胞製品は21年実績の17億円が30年に320億円に18.8倍になると予測。細胞治療型再生医療等製品は21年の37億円が30年に262億円に市場は7倍になるとしている。 調査は、同社の専門調査員による参入企業や関連企業・団体などへのヒアリング、関連文献調査、社内データベースを用いて行った。調査期間は22年3月~5月。再生医療等製品は、シート移植型再生医療等製品、組織移植型再生医療等製品、細胞治療型再生医療等製品、CAR-T細胞製品――と調べた。 再生医療等製品市場は19年69億円、20年62億円、21年79億円と推移した後、22年見込114億円、25年予測267億円、30年予測662億円――になると分析。30年の市場規模は21年実績の8.4倍となる。 21年の再生医療等製品市場は、「日本メーカーの積極的な営業活動」により、シート移植型再生医療等製品(皮膚、心筋、角膜など)が伸長。CAR‐T細胞製品も治療施設数の増加や新薬の承認により伸び、拡大した。中国でもバイオベンチャーや大学・研究機関を中心にCAR‐T細胞療法の臨床試験が実施されており、今後、中国でも市場が本格的に形成されるため大きく伸長するとみている。細胞治療型再生医療等製品も日本での治療施設数の増加や適応範囲の広がりによって伸長が期待できるとしている。 ◎CAR-T細胞製品市場 30年に320億円 中国でも市場形成へ CAR-T細胞製品の市場規模は、19年10億円、20年15億円、21年17億円と推移後、22年見込38億円、25年予測129億円、30年予測320億円――になると分析した。 市場はいま、日本のみで構成され、キムリア点滴静注(ノバルティス)、イエスカルタ点滴静注(第一三共)、ブレヤンジ静注(BMS)があり、22年にはアベクマ点滴静注(BMS)が承認された。治療施設の増加や適応疾患拡大で市場拡大が予想されるとしている。また、中国では、「Relmacabtagene autoleucel injection」(JW Therapeutics)が21年9月に初のCAR-T細胞製品として承認され、バイオベンチャーや大学・研究機関を中心に臨床試験を実施している。この動きを受けて富士経済は、「中国でも22年に市場が形成され、その後は順調な伸びが期待されることから、30年の市場は21年比18.8倍が予測される」としている。 ◎細胞治療型再生医療等製品 30年に262億円 日本中心に拡大 細胞治療型再生医療等製品の市場規模は21年37億円、22年見込47億円、25年予測95億円、30年予測262億円――と分析した。なお、同市場は、主に幹細胞を用いる細胞性医薬品(細胞治療製品・細胞製剤)のうち、保険適用された製品を対象としたもの。遺伝子治療用製品は対象外。 現在は日本のテムセルHS注(JCRファーマ)、ステラミック注(ニプロ)、アロフィセル注(武田薬品)で市場は構成されており、「参入企業の共同開発により、適用範囲を広げた製品が市場に投入され、25年から27年頃に伸長すると予想から、30年の市場は21年比7.1倍が予測される」という。なお、中国では、CAR‐T細胞製品の開発が中心となっているため、「市場形成には時間がかかるとみられる」としている。

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IQVIA・谷バイスプレジデント 26年対世界シェア「5%割れ」に憂慮も NASの上市速度は日本が優位

IQVIAジャパンの谷将孝取締役バイスプレジデント・RWAS事業担当は6月27日、同社主催メディアセミナーで、2026年医薬品市場の世界ランキングで日本が4位に後退し、対世界シェアで5%を下回ることに、「憂慮すべき」と警鐘を鳴らした。ドイツと日本を比べた市場分析では、ドイツはバイオ製品の成長が顕著であると分析。一方で日本は新規活性物質(NAS)の上市スピードがドイツに勝っているとしたが、「市場の魅力度を考えると、日本市場に足場を持たない新興バイオ医薬品企業(EBP:Emerging Biopharma)の革新的新薬のアクセスを確保することも重要」と表明した。 IQVIAの情報研究機関であるIQVIA INSTITUTEはこのほど、医療用医薬品の国別の市場規模予想として現在3位の日本が2026年にドイツに抜かれて4位になるとの分析を公表した。この日のメディアセミナーでは、こうした市場環境の変化を踏まえ、日本とドイツの医薬品支出の違いにフォーカスしてディスカッションが行われた。 ◎ドイツ市場 過去5年のバイオ製品の成長力+55.9% 絶対額でも日本を上回る 谷バイスプレジデントは日本とドイツの違いを分析。マクロ経済的視点でみると、過去5年間のドイツのGDP成長力+4.0%に対し、日本は△0.3%で、「ドイツの医薬品市場の成長力に寄与している」と分析。一方で65歳以上人口の推移をみると、直近の増加速度は日本に比べてドイツが圧倒的に早いとし、こちらもドイツ市場の成長力に寄与する可能性を指摘した。医薬品セグメント別の成長率を16年と21年の5年間で比較すると、日本の特許品の成長力+3.5%に対し、ドイツは+55.9%と成長力に大きな差を生じている。内訳をみると、ドイツでは特にバイオ製品の支出が大きく、絶対額でも日本を上回っていることを明らかにした。 ◎新規活性物質(NAS)への薬剤アクセスはドイツ NAS上市速度は日本が優位 薬剤価格の影響を数量成長・価格影響で分解すると、日本の薬価政策が市場成長にダイレクトに影響しているのに対し。ドイツは価格コントロールによる影響はほぼフラットで推移しており、結果的に数量成長は着実に右肩カーブの増加傾向を描いていることも分かった。このほか、市場アクセスの面では、「4年前以降の新規活性物質(NAS)への薬剤アクセスはドイツの方が高いものの、直近3年のNAS上市速度は日本が優位となっている」と述べた。 ◎日本市場の魅力度向上「新興バイオ医薬品企業(EBP)の革新的新薬へのアクセスを確保」 ただ、谷バイスプレジデントは日本市場の魅力度に関して警鐘を鳴らす。日本の医薬品支出対世界シェアをみると、2016年の7.9%(米国41.1%、EU4か国+英国13.8%)、2021年の6.0%(米国40.8%、EU4か国+英国14.7%)、そして26年は4.7%(米国39.7%、EU4か国+英国14.7%)と、「いよいよ日本が5%を切る。市場の魅力という観点で憂慮すべきだ」と強調。その上で日本市場の魅力度をあげるためには、「新興バイオ医薬品企業(EBP)によって開発された革新的新薬へのアクセスを確保することを検討していく必要がある」と述べた。

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一定評価もさらなる充実求める声  日薬連、390成分規格の供給状況調査

 日本製薬団体連合会が17日に、390成分規格3107品目の医療用医薬品の出荷量と供給状況の調査結果を公表した。製薬各社が限定出荷解除や増産を検討したり、医療機関や薬局が医薬品を調達したりするときの参...

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