MRのためのニュース・求人情報サイト

アルフレッサとメドピアは7月27日、医療機関起点の薬局向け処方箋画像事前送信サービス「やくばと」を開始すると発表した。メドピアが7月1日に設立した完全子会社「やくばと」を通じて共同で実施するもの。両社は、「やくばと」の事業拡大に向けた取り組みを行うほか、やくばとの合弁会社化に向けた検討について継続することで合意した。 「やくばと」は、薬局での待ち時間削減やかかりつけ化を推進するサービス。患者自身が、スマホを用いて薬局に処方箋画像を送信し、薬の準備が出来るとSMS(ショートメッセージ)で通知が患者に届くというもの。これにより診察からご自宅に帰るまでの受診行動全体にかかる待ち時間が削減でき、患者の医療満足度の向上につなげることができる。 一方、オンライン服薬指導を希望する際の処方箋は患者の求めに応じて医療機関から薬局に送付できる(2022年3月31日発出事務連絡)ことを踏まえ、「やくばと」では、医療機関から薬局への処方箋画像送付を、より効率的かつ安全に実施することで、オンライン服薬指導普及のハードルとなりうる処方箋受け渡しの煩雑さを軽減することができるとしている。 すでに「やくばと」は、日本医科大学付属病院、日本大学医学部附属板橋病院など4病院に先行導入されている。また、「やくばと」を通じて処方箋受信を希望する薬局も5000店舗を越えているという。両社は、導入店舗数の拡大を今後も図る方針だ。

日本医師会の猪口雄二副会長は7月27日の定例会見で、物価高騰が続くなかで、医療機関・介護事業所等への「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」による支援の拡充を要望したことを説明した。猪口副会長は、「水道、光熱費、食材料費等の物価等により、医療機関、介護施設事業者等の経営は極めて深刻な状況にある」と強調。厚労省医政局は事務連絡を発出し、医療機関などが同交付金を活用できることを各都道府県に周知しているが、「使途がすでに決まっているのでお出しできない、という回答もいくつかの都道府県で寄せられている」という。こうしたなかで、自民党厚労関係議員に対し、国が全体として交付金を積み増しし、確実に交付されるようにお願いした」と説明した。後藤茂之厚労相にも近く、直接要望する方針。 ◎日医など関係10団体 後藤厚労相などに要望書提出 自民党厚労部会でも議論に 日本医師会ら、医療・介護関係10団体は7月21日付で、「医療機関・介護事業所等における物価高騰への支援の拡充に関する要望」を後藤厚労相、加藤勝信社会保障制度調査会長、牧原秀樹厚生労働部会長、尾辻秀久参院議員、田村憲久衆院議員宛てに提出。7月26日に開かれた自民党厚生労働部会でも、議題に上がった。 ◎「物価高騰が医療機関・介護事業所等に大きな影響を及ぼしている」 要望書では、水道光熱費、食材費などの物価高騰が、医療機関・介護事業所等に大きな影響を及ぼしていると説明。「日常の業務に加えて、新型コロナ感染者の対応に追われており、厳しい環境下での経営を強いられているところだ。そのような中、ロシアのウクライナ侵攻等により、物価高騰が顕著になっており、経営に甚大な影響を及ぼしている」とした。そのうえで、医療機関・介護事業所等が国の定める公定価格で経営されることから、「多くの患者・利用者等の経済状況を考慮すると、物価高騰の影響を価格に転嫁することはできず、もはや、経営努力のみでは対応することが困難な状況だ」として、物価高騰への支援を求めた。具体的には、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による支援の確実な実施と、交付金を積み増しし、支援にかかる財源の確保を求めた。 ◎東京病院協会調べ 電気代136.8%、ガス代152.8%に増加 なお、東京都病院協会の調査によると、104病院の有効回答件数で4月の対前年比で電気代が136.8%、ガス代が152.8%に増加。東京都の全病床に換算すると、ガス代、電気代の年間負担増加額の合算が約176億7100万円と試算されているという。また、四病院団体協議会(四病協)の調査によると、回答のあった57病院では5月の電気使用量は対前年比で下がっているものの、料金は131%に増加しているという。 ◎猪口副会長「まず、一時的な交付金でお願いできれば」 医療機関、介護事業所等の原資となる診療報酬・介護報酬は賃金、物価動向を踏まえて決定される。猪口副会長は今回の物価高騰について、「一時的なものであり、恒久的なものでない可能性もある。交付金でとりあえずはお願いできれば」と説明。診療報酬上の補填などについては、「診療報酬でということになると、多くの議論と時間が必要になる。まず、一時的な交付金でお願いできればと考えている」と述べた。

グラクソ・スミスクライン(GSK)日本法人は今年から、医療従事者の情報ニーズを人工知能(AI)を用いて複合的に分析し、MRの訪問計画を策定する取り組みを開始した。この取り組みは情報提供先の医療従事者の専門領域、研究内容、所属医療機関の種別、情報ニーズ、情報収集チャネル、GSKとのこれまでの接点、取扱製品の処方実績――といった様々な構造化データ等をAIに機械学習させて複合的に分析し、最適な訪問計画をその頻度や方法を含めてMRに提示するもの。生産性の向上を期待する。まずCOPD・気管支ぜんそく治療薬・テリルジーから始め、今後、他の主力品に広げる。 ◎「医療従事者のニーズがかなり急速に変化」を踏まえ データドリブンのアプローチにシフト 同社の長澤悠子・ワクチン事業本部長は7月27日に開催した事業説明会で、コロナ禍を契機とした情報提供活動について、「医療従事者のニーズがかなり急速に変化していると日々感じている。オムニチャネルを通じたアプローチにかなりギアを切り替えている」と述べた。これまでは同社もMRが足で稼いだ情報・経験をもとに訪問計画を策定し、実行してきたが、現在は「よりデータドリブンのアプローチにシフトしている」と強調した。そして、訪問計画をAIに策定させる取り組みをテリルジーで試行的に行ってきたことを明らかにした上で、「(テリルジーで)今年から本格展開している」と話した。 この日の事業説明会では、訪問計画をAIに策定させる2製品目、3製品目まで明らかにしなかったものの、同社は「主力品で順次展開する」と今後の展開に期待感を込めた。主力品には帯状疱疹予防ワクチン・シングリックスや全身性エリテマトーデス(SLE)治療薬・ベンリスタ、新型コロナ治療薬・ゼビュディ、重症喘息・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)治療薬・ヌーカラ、各種喘息・COPD治療薬――があり、これらの製品が対象になるとみられる。 ◎26年までの年平均成長率5%目指す 同社のポール・リレット社長は事業説明会で、日本法人の26年までの年平均成長率は「5%を目指す」と表明した。21年は4%成長で、シングリックスや呼吸器領域の製品群を中心に伸長。例えばシングリックスの出荷数量は対前年比520%、テリルジーはICS/LAMA/LABA市場でシェア73%、レルベアなどの喘息・COPD吸入薬はシェア51%――だったと紹介した。 26年までの成長ドライバーとしてテリルジー、ヌーカラ、ベンリスタ、シングリックスを挙げ、「26年までに2倍になる」(リレット社長)とチャレンジングな計画を披露。さらに、26年までの上市を計画している現在第3相試験段階にある再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬・ベランタマブ マホドチン(一般名、開発コード:GSK2857916)や、申請準備段階にある呼吸器合胞体ウイルス(RSV)ワクチン(開発コード:GSK3844766A)も、「ドライバーになるだろう」と期待感を示した。 ◎RSVワクチン 日本も同時申請できるよう進める このうち開発中のRSVワクチンは、膜融合前型の遺伝子組換えRSV F糖タンパク質(RSVPreF3)抗原と同社独自のAS01アジュバントを組み合わせたもの。グローバル第3相臨床試験(AReSVi 006試験)では、60歳以上の成人を対象に単回投与したところ、中間解析結果として統計学的に有意かつ臨床的に意義のある有効性が示された。RSVのA型とB型、70歳以上高齢者においても一貫した効果が確認された。 同社の三好出・メディカル・開発本部長は、同試験について「(RSVワクチンとして)初めて有効性が示されたピボタル試験」と紹介し、「承認申請に向けて準備が着々と進んでいる。日本も同時申請できるようにチーム一丸となって進めている」と話した。RSVワクチンは1960年代から各社で開発されてきたが、全て失敗している。 RSVは肺や呼吸器に影響を及ぼす一般的な感染性ウイルスで、乳幼児の急性下気道感染症の最も一般的な原因として知られている。高齢者の呼吸器感染症の重要な原因のひとつでもあり、加齢に伴う免疫力の低下により、高齢者では重症化や合併症リスクが高いとされる。三好氏は、日本の高齢化の進展に伴いRSVによる疾病負担も増大すると指摘し、ワクチンで予防すべき疾患だと訴えた。 なお、同社のグローバル開発パイプラインは64品目(ワクチン:21品目、医薬品:43品目)で、うち開発後期に22品目あり、基本的に世界同時開発する方針を掲げている。 ◎ワクチン価値最大化へ 早期定期接種化によるアクセス改善などに取り組む 英国GSKは今年、グローバルにコンシューマーヘルス事業を分離し、ワクチンと医薬品に特化したバイオ医薬品企業として始動した。特にワクチンは、小児から高齢者までの生涯を通じたワクチンを提供して疾患予防に貢献する考えで、▽バイオコンジュゲート(結合型ワクチン)▽ウイルスベクター(アデノウイルス)▽メッセンジャーRNA▽抗原ゲノム配列解読▽3D構造解析▽膜表面抗原モジュール化▽アジュバントシステム――など広範かつ多くの先駆的なテクノロジーを組み合わせてワクチン開発していく。 日本市場では、先進国で実用化されているワクチンが日本で使えない「ワクチンギャップ」が指摘されている。承認から発売まで年単位で時間がかかるほか、定期接種化にも長い歳月がかかることも課題になっている。同社は、「ワクチンのリーディングカンパニーとして、ワクチン価値最大化の実現に取り組む」としており、日本では▽早期定期接種化によるアクセス改善▽承認から上市までの時間短縮▽開発投資に見合った対価回収――の実現を目指すとしている。
2022.07.27