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アンジェスは9月7日、HGF遺伝子治療用製品・コラテジェン筋注用(一般名:ベペルミノゲン ペルプラスミド)について、「慢性動脈閉塞症における安静時疼痛」の適応追加に向けた国内開発を中止すると発表した。第3相臨床試験のデータ分析を行った結果、安静時疼痛に関する主要評価項目である二重盲検試験期(ステージ1)において、12週後の安静時疼痛(VAS)の投与前値からの変化量でプラセボ群に対して有意差を見出すことができなかった。今回の開発中止に伴う業績や財政状態への影響は「軽微」としている。 HGF遺伝子治療用製品は、同社設立以来手がけてきた主力のプロジェクト。コラテジェンは2019年3月に、国内における慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍の改善を効能、効果又は性能として条件及び期限付きで承認されたもので、国内初の遺伝子治療用製品として登場した。製造販売後承認条件評価のための目標症例数の患者登録は完了しており、同社は「慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍の改善を効能、効果又は性能とする本承認の取得に向けた申請の準備を計画どおり進める」としている。 コラテジェンはヒト肝細胞増殖因子(HGF)を発現するプラスミドDNAを主成分とする再生医療用等製品。標的細胞である下肢の筋肉細胞内に取り込まれ、細胞内で転写・翻訳されて、HGFを産生・分泌する。HGFの血管新生作用によって、虚血部位の血管数と局所血流量を増加させ、虚血状態を改善する。 ◎新型コロナの武漢型DNAワクチンの開発中止、経鼻投与の改良型DNAワクチンを研究へ 同社はこの日、新型コロナ(武漢型)に対するDNAワクチンの開発を中止するとともに、経鼻投与の変異株対応DNAワクチン(改良型DNAワクチン)の研究を開始することも発表した。 武漢型DNAワクチンの開発では、高用量製剤に関する第1/2相臨床試験の投与が完了し、データ分析を行っていた。速報データではあるものの、安全性は確認された一方で、主要評価項目とした12週後のSARS-CoV-2のシュードウイルスに対する中和活性及び12週後のSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準には至らず、高用量を含む武漢型に対するDNAワクチンの開発中止を決めた。 ただ、武漢型DNAワクチンの研究開発の知見を活かして、プラスミドの発現効率や導入効率の向上などプラットフォームの見直しを行い、並行して、将来発生する可能性のある新たな変異株を視野に入れて、オミクロン株の最新変異株(BA.5等)に対しても有効な改良型DNAワクチンの研究を始めることを決めた。さらに、ウイルス性肺疾患に対し、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待されるワクチンの経鼻投与製剤の研究開始も決定した。この改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤は、米国スタンフォード大学との共同研究で進める。共同研究期間は概ね3年、研究費は概ね300万ドルとなる。

日本医師会の松本吉郎会長は9月7日の定例会見で、「薬価差は、あくまで市場が決めるということが基本的な考えだ」と強調した。そのうえで、現行薬価制度における市場実勢価格主義については、「ある程度の薬価差益はやむを得ないものと考える。これを急に変えることは、かえって混乱を起こす」と慎重な姿勢を表明した。日本製薬工業協会(製薬協)の岡田会長が8月30日の記者会見で、「薬価差の透明性・妥当性に課題がある」と指摘。市場実勢価格に基づく薬価改定方式の抜本的見直しを主張したことに対し、松本日医会長が見解を示した。 ◎市場の変化、現場の状況など鑑み「薬価差が一定程度生じるのはやむを得ない」 医薬品の市場実勢価格は、医薬品卸と医療機関・薬局の川下取引だけでなく、製薬企業と医薬品卸の川上取引も含めた流通当事者間の合意で形成される。日医の松本会長は、8月30日の岡田製薬協会長の記者会見での発言に対する質問に、「薬価差については、あくまで市場が決めるということが基本的な考え方だ」と表明した。また、「流通のいろいろな段階で、薬価差が生じているが、“市場の変化”、“現場の状況”など、その影響を鑑みるにあたっては、こういった薬価差については、一定程度生じるのはやむを得ないと思っている」との見解を示した。続けて、「調整幅も含めてやむを得ない」とも付言した。 市場実勢価格方式に基づく薬価改定方式の見直しは、今後の流通・薬価議論における一つの論点になる見通しだ。現行の市場実勢価格に基づく薬価制度をめぐって製薬協の岡田会長は8月30日の記者会見で、「医療機関や薬局にとっては薬価差から得られる収益が経営の極めて重要な要素となっている現状だ。一方で、その薬価差に関する“透明性・妥当性には課題がある”との指摘は長年の議論を経てもなくなることは一切なく、増すばかりだと思っているところだ。最終的に薬価差は、国民負担となっている。それがどこに還元されているかは別として、国民負担となっていることを踏まえれば、国民にとってもわかりやすい透明性のある仕組みとして根源的な課題である市場実勢価格に基づく薬価改定方式の抜本的見直しを検討する時期にまさしく来ている」と主張していた(関連記事)。
2022.09.07
2022.09.07

EPSホールディングス子会社でCRO事業を展開するイーピーエスは9月6日、世界情勢を背景にした物価上昇に対し、従業員の生活を安定させることを目的に約3000人の全従業員に特別手当を支給すると発表した。2022年6月~9月の4カ月分について、8月、9月の給料日に支給する。 支給対象者は、22年8月1日に同社に在籍している直接雇用の全従業員。1人あたりの平均支給額は開示していない。今回は事業年度の区切りということで9月までを支給対象としたが、10月以降については、「物価状況等を踏まえ延長要否について検討中」としている。 ロシアによるウクライナ侵攻を発端に、インフレ傾向が世界的に強まっている。さらに円安も影響し、特にエネルギーや食料品の高騰が家計に打撃を与えている。イーピーエスは、今回の特別手当の支給で従業員の不安の払しょくを図るほか、在宅勤務制度の見直し、山梨にあるサテライトオフィスを利用したリフレッシュプログラムの実施など様々な施策で全従業員が安心して働ける職場づくりを目指す。