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スイス・ノバルティスは8月25日、同社のジェネリック部門サンドを分離(スピンオフ)すると発表した。サンドは欧州第1位のジェネリック企業としてスイスに本社を置き、スイス証券取引所に上場する。ノバルティスはサンド分離について、「それぞれの資源が集中化でき、独立した成長戦略を追求する能力を得る」と指摘。サンドについて「バイオシミラーのグローバルリーダーを目指すことで株主価値も最大化できる」と強調した。分離上場は2023年下半期に完了予定 ◎サンドの21年売上高は96億米ドル サンドの2021年の売上高は96億米ドル(約1兆3129億円)。日本を含む世界100地域以上の市場に対し、バイオシミラー、抗生物質、およびジェネリック医薬品の重要な戦略分野への投資を継続している。このため同社も、「ヨーロッパでナンバーワンのジェネリック企業であり、バイオシミラーのグローバルリーダー」を自負している。日本ではサンドとサンドファーマの2社体制で日本事業を推進しており、従業員数はサンドが約370人、サンドファーマが約30人。取扱品目数は、サンドが約180品目、サンドファーマは約90品目。 一方、ノバルティスはグローバルで組織再編に着手している。すでに経営陣の一部を刷新したほか、2024年までに販売費および一般管理費を10億米ドル(約1240億円)削減する計画だ。20年から26年の売上高について少なくとも年平均4%の成長率を目指す方針を打ち出していた。さらに、スイス国内社員の10%に当たる1400人を削減、グローバルの従業員10万8000人のうち8000人を今後3年程度で削減する方針も示されている。こうした中で、サンドの分離についても、そのタイミングをはかっていたとも言われている。分離後のサンドは法人化され、スイス国内に本社を構える。また、米国で米国預託証券 (ADR) プログラムを利用して、スイス証券取引所に上場することも公表された。 ◎ヴァス・ナラシンハンCEO「それぞれのビジネスニーズに経営陣を集中でさせ、価値創造を最大化」 サンドの分離についてノバルティスのヴァス・ナラシンハンCEOは、「両社は資本とリソースの割り当てを優先し、それぞれのビジネスニーズに経営陣を集中させることで、株主の価値創造を最大化に集中できる」とコメントした。また同社のJoerg Reinhardt会長は、「スピンオフによりサンドは、欧州でナンバーワンのジェネリック企業として上場し、スイスを拠点とするバイオシミラーの世界的リーダーになるだろう」と強調した。

エーザイとライフネット生命保険はこのほど、生活者の医療・介護に係る負担軽減に貢献することを目指して、認知症領域などでの協業に向けた資本業務提携契約を締結したと発表した。エーザイが強みを持つ認知症領域などでの創薬活動や疾患啓発活動の経験知やネットワークと、ライフネット生命が有する保険商品・関連サービスで培ってきたノウハウや技術を相互に活用し、新たな保険商品やサービスを開発する。さらに、両社が持つ様々なデータや顧客接点を活用したヘルスケアソリューションの創出も推進する。 同契約に基づき、エーザイは、株式市場内での取引方法により、ライフネット生命の普通株式3億円相当(0.5%程度)を取得する。両社は、「活動主旨に賛同いただける他の企業・団体とのコラボレーションも検討しながら、エコシステムの構築を通じて、社会課題の解決に貢献していく」としている。

MR認定センターは8月24日開催のMRフォーラム2022に「MR実態調査(医師・薬剤師編)」の概要を報告した。「MRと面会する価値があると思うか」との問いに、医師の53%、薬剤師の47%(非常に価値があるとの回答含む)が明確な価値を見出していた。価値ある面談の中身は「情報提供」がともに4割を占め、その内訳は、「適切かつ、正確で、簡潔な情報提供」をMRに求めた。未処方薬剤で「最も頼りにする情報源」では、医師、薬剤師ともに1位はMR、2位は研究会・講演会だった。同設問を2012年実施の調査結果と比較すると、1位のMRは変わらないものの、インターネットが5位から3位にランクアップしていることも分かった。 調査は、今年2月(回収期間:2月21日~28日)にインテージヘルスケアのパネルを用いてWebで全国の医師・薬剤師に調査した。回答数は医師2084(HP=1326、GP=758)、薬剤師624(病院薬局=88、保険調剤薬局=536)。調査ボリュームは37問だった。 ◎「価値ある面談のMRの態度行動」の第1位は情報提供 医師、薬剤師がMRとの面会に価値を見出しているかとの設問に対し、医師(n=2070)は「非常に価値がある」が17%、「価値がある」が36%となり、56%の医師がMR面談を肯定的に受け止めていた。ただ、「やや価値がある」が39%、「価値がない」との回答も8%あった。薬剤師(n=618)は、「非常に価値がある」が9%、「価値がある」が38%で、47%の薬剤師は肯定的だった。一方で、「やや価値がある」は48%、「価値がない」は5%あった。 製品の採用や処方(調剤)時における「価値ある面談のMRの態度行動」(複数回答)について聞いたところ、第1位は「情報提供」で、44%の医師、40%の薬剤師が回答した。第2位は「迅速対応」で、15%の医師、14%の薬剤師が回答しており、1位と2位の間に大きな開きがある。「情報提供」における価値ある面談の理由について聞いたところ、①適切な情報、②正確な情報、③簡潔な情報-という3つのポイントを兼ね備えることが重要視された。 ◎処方未経験の薬剤で「MRから得たい情報」 1位は「製品名、効能効果、用法用量など」 処方未経験の薬剤について「MRから得たい情報」(複数回答)を聞いた。回答の多かったカテゴリーは製品の基本情報に関するもの。内訳をみると、1位は「製品名、効能効果、用法用量など」で医師、薬剤師ともに69%、2位は「禁忌・慎重投与、使用上の注意などの適正使用情報」で57%の医師、56%の薬剤師が回答した。次いで3位には「作用機序、薬物動態など製品の特徴を示す情報」がランクされている。このほかプロモーション情報に区分された「他剤との違い」については、41%の医師、56%の薬剤師が回答していた。 ◎処方したことの無い薬剤で「最も頼りにする情報源」 1位MR、2位研究会・講演会 いままで処方したことの無い薬剤について、「最も頼りにする情報源」についても回答を求めた。医師の回答をみると、1位は「MR」(30%)、2位「研究会・講演会」(18%)、3位「インターネット」(15%)、4位「医学書・専門書」(10%)、5位は「添付文書」と「指導医・同僚医師」(ともに7%)が同率で並んだ。同設問を2012年調査の結果と比較すると、12年調査で5位にランクされた「インターネット」が、コロナ禍の影響などを受けて3位にランクアップしていることが分かり、10年前のリアル主体の情報提供活動から、Webメディアを駆使したオムニチャネル型のMR活動にシフトしていることを垣間見ることもできた。
2022.08.24