MRのためのニュース・求人情報サイト

製薬協・田中常務理事が退任挨拶 MRは倫理観を発揮せよ! その先に社会的地位向上の道が必ずや開ける

日本製薬工業協会の田中徳雄常務理事は9月15日、大阪市で開かれた総会後の記者会見で、9月末の退職についてコメントし、「MRの情報提供活動に当たり、倫理観を発揮しなければいけない場面でしっかり発揮できるかがポイントだ」と全国で活動するMRにエールを送った。田中氏は武田薬品を退職し、2013年に製薬協常務理事に就任した。奇しくもこの年は製薬協のコードオブプラクティス策定と、透明性ガイドラインに基づくCOIの開示がスタートした年でもある。田中常務理事は会見で、この2つのテーマに全力で取り組んだと振り返りながら、MRの適切な情報活動の推進や、これからの“MRの社会的地位向上”に力を込めた。 ◎「参考人の名のもと被告席のようなところで透明性GLの話をさせていただいた」 田中常務理事は2013年8月から9年間にわたり常務理事を務め、9月末で定年退職する。印象に残った在任期間中の出来事について田中常務理事は、就任直後に降圧薬をめぐる臨床研究不正事案で厚労省の「高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会」から参考人として招致されたことをあげた。この当時を思い出しながら、「参考人という名のもとに被告席のようなところで透明性ガイドラインの話をさせていただいたのが強く印象に残っている」と語ってくれた。また、2018年にはAPECビジネス・エシックス・フォーラム(東京会議)に参加した。この時は、患者団体、日本医師会、日本薬剤師会、製薬業界団体、医療機器業界団体、そして厚生労働省とともに、「日本における倫理的連携のためのコンセンサス・フレームワーク」に署名した。田中常務理事はこの時のことを、「“患者第一”というコンセンサス・フレームワークの確立に貢献でき、達成感があった」と振り返った。 ◎「さらに透明性の高い取り組みを行い、新薬を創出して人々の健康に貢献してほしい」 田中常務理事は製薬産業のこれからについて、「医薬品産業は、公的な医療費を活用しており、これまでも、他産業よりも透明性の高い活動を心がけてきた。透明性ガイドラインの策定を踏まえ、さらに取り組みの透明性を高め、説明責任を果たすよう、早くから深く取り組んでいる。今後はさらに、透明性の高い取り組みを行い、新薬を創出して人々の健康に貢献していただきたい」とエールを送った。 ◎MRへのメッセージ 「倫理観が一番重要。必要な場面でしっかり発揮できるかがポイント」 長年にわたり尽力したMRのあり方については、MR認定試験の受験者数がかつての年間5000人から約1500人にまで減少してきている。田中常務理事は、「人数は減少しているが、この業界に入って病気で困っている方の役に立ちたい、医療に貢献したい、患者さんに貢献したいという気持ちが強い人が多い」との見方を表明。「各社の教育のなかで、そんな気持ちを忘れずに取り組んでいただきたい。倫理観が一番重要だ。OJTなどを通じて各社しっかり教育しているが、知識を得るだけでなく、倫理観を発揮しなければいけない場面でしっかり発揮できるかがポイントだ。MR活動の課題は、いかに倫理観を醸成するかだ。教育はしっかりできているので求められたときにしっかりと言動で出てくるかどうかだと思う」と語った。 なお、同日開催の常任理事会で次期常務理事として石田佳之理事長付部長が選任された。石田氏は1988年4月に中外製薬入社。営業業務部長、札幌支店統括支店長、マーケティング企画部長、営業本部副本部長を歴任し、今年7月に製薬協の理事長付部長に就任していた。

続きを読む

モデルナ、5年後には世界最大級の開発品数に  バンセルCEO、売上比「感染症5割、がん3割、希少薬2割」

 来日している米モデルナ社のステファン・バンセルCEOは14日、日刊薬業の取材に応じ、自社の今後について「5年後には開発パイプラインが100~150品目に拡大し、世界最大級の開発品数を持つ製薬企業に成..

続きを読む

モデルナ・バンセルCEO mRNA製造施設、日本で建設検討 年1回投与型新型コロナワクチンの開発も

米モデルナのステファン・バンセルCEOは9月14日、東京都内で記者会見し、新型コロナワクチンなどを生産するmRNA製造施設を日本に建設することを検討していると述べた。パンデミックの中で社会から求められるワクチンを迅速に開発・提供するためには「(製造施設は)各大陸にひとつはいると思った」とし、科学技術力があり、医療レベルの高い日本に製造施設を置くことに意欲をみせた。新型コロナウイルス感染症に関しては、「ウイルスはいなくならない。コロナと共に生きていく時代になる」と指摘。季節や地域に適したカスタマイズされた年1回投与型追加免疫用ワクチンや、新型コロナと季節性インフルエンザの混合ワクチンを開発・提供するビジョンも示した。 ◎「将来起こり得るパンデミックから日本国民を守る」 政府指令から数カ月でワクチン提供 バンセルCEOは、「日本国内でのmRNA製造施設の建設を検討し続け、将来起こり得るパンデミックから日本国民を守り、日本でのmRNAサイエンスの発展に貢献する」との考えを示した。そして、「日本の工場で、日本のチームによって、日本の方々のために(mRNAワクチンを)製造していくことが重要」と話した。世界に建設・配置するmRNA製造施設は、基本的に設計や設備は同じとする方針。原薬の調達に関しては、「地政学的、地理的リスクを薄めるために検討しないといけない。各国にサプライヤーがいるので、柔軟性を持ちつつ、ネットワークを構築したい」と述べた。 会見に同席した日本法人の鈴木蘭美社長は、国内製造施設の建設プランに関し、「日本に製造拠点を作り、国産の最高品質の安全なワクチンを日本の皆さんに届けたい」、「日本政府の指令から数カ月以内に全国民に有効なワクチンをお届けするというもの」と説明した。バンセルCEOが今回の来日時に国会議員や政府関係者と対話するとした上で、「我々が成し遂げようとしている重要性や意義を理解いただければと期待している」と強調した。 同社は日本のほかにカナダ、米国、英国、スイス、オーストラリア、ケニアに製造施設を置く計画だという。同社は5月27日開催のオンラインメディアセミナーで、カナダやオーストラリアでは政府と長期契約を結んだ上で22年から着工したことを明らかにしており、日本も同様のスキームでの製造施設建設を目指すとみられる。 ◎BA.4/BA.5対応の2価ワクチン 年内の供給を予定 同社はこれまでに、オミクロン株BA.4/BA.5対応の新型コロナワクチン(2価ワクチン)を近く日本で承認申請する方針を示している。具体的な申請時期について鈴木社長は、「申請時期は明言しないが、年内の11月、12月にはBA.4/BA.5対応の2価ワクチンを接種会場でお届けできることを予定している」と述べた。ファイザー及びビオンテックのBA.4/BA.5対応の2価ワクチンは9月13日付で申請されている。 ◎mRNA技術の特許侵害 コロナ禍初期に認識 モデルナは8月に、mRNAワクチン技術に関する特許が侵害されたとして、ファイザーとビオンテックの2社を提訴した(関連記事はこちら)。モデルナはこれまで、パンデミック期間中は特許権を行使しない方針(Patent Pledge)を示していた。 バンセルCEOは、コロナ禍に突入した初期の頃からモデルナ経営陣はファイザー及びビオンテックのワクチンが特許侵害に当たると認識していたが、「ファイザーのチームも懸命にワクチンを市場に届けようと努力していた。共通の敵がウイルスだった」との理由で黙認していたと当時を振り返った。ただ、「今の状況は違う。ワクチンに対するアクセスは問題になっていない」と強調し、「知的財産はこの業界の基盤だ」として訴訟に踏み切ったと説明した。 ◎新型コロナ+インフルエンザの混合ワクチン 24年の承認取得目指す モデルナは8月時点で46の開発プロジェクトがある。mRNA技術を用いたもので、今後はワクチンだけでなく治療薬も開発し、市場投入する計画だ。 新型コロナワクチンに関しては、インフルエンザのように、ウイルスの型に応じたカスタマイズされた年1回投与型の追加免疫用ワクチンを検討する。バンセルCEOは「ウイルスが変異すれば、製品のアップデートも必要」と指摘し、ウイルス型が判明してから「2カ月で製造して出荷できる」と自社の技術に自信を見せた。 新型コロナと季節性インフルエンザの混合ワクチン(開発コード:mRNA-1073)は24年の承認取得を目指して開発中。季節性インフルエンザ用ワクチン(mRNA-1283)は、23年の承認取得に向けて、第3相臨床試験で安全性と免疫原性を確認中だと説明した。 「呼吸器系ウイルス全般に対する年1回の追加予防接種」の実現も目指す考えで、新型コロナ、インフルエンザ、RSウイルスの3種混合ワクチン(mRNA-1230)なども開発中。開発に成功すれば世界初となる妊娠前の女性のためのサイトメガロウイルス(CMV)感染症ワクチンは第3相試験段階にあると紹介した。 ◎個別化がんワクチン「mRNA-4157」 年内に試験データ判明 mRNA治療薬に関しては、米メルクと共同開発している「個別化がんワクチン」(mRNA-4157)が第1相試験を実施中で、第2相試験は登録済みだとした。バンセルCEOは「試験結果データが22年第4四半期に入手予定」とし、開発に成功した場合は「世界で最良クラスに入る治療選択肢になる」と期待感を示した。mRNA-4157は、がん患者1人ひとりから正常細胞とがん細胞を摘出し、ゲノム解析してその違いを特定した上で1つのワクチンに入れ込み、がん免疫療法薬・キイトルーダと併用するもの。このほか、希少疾患のプロピオン酸血症(PA)に対する治療薬(mRNA-3927)の試験結果データも年内に出る見通しと報告した。

続きを読む

経済財政諮問会議 物価高騰を織り込んだ経済対策で議論スタート 医療DXやインセンティブ改革も視野

政府の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)は9月14日、22年後半の重点課題とマクロ経済運営について議論した。新内閣発足後、初開催となる。民間議員から年後半の主な政策課題が提示され、社会保障分野の経済財政一体改革では、①患者や関連産業に裨益(ひえき)する医療・介護DX推進、②医療・介護サービスの機能分化・連携の徹底、③インセンティブ改革の推進等による医療費・介護費の適正化-などが示された。世界的な物価高やエネルギー価格の高騰は、すでに医薬品の原料調達や、医療機関が購入する医療機器・診断薬の価格値上げなどに影響している。諮問会議で岸田首相は10月中に総合経済対策を取りまとめる方針を明言。政府は物価高騰対策を織り込んだ経済対策を含む2023年度予算編成作業に着手する。 諮問会議で岸田首相は、「物価・賃金・生活総合対策本部で決定した物価高騰対策を早急に実行に移す」と明言。「新しい資本主義を大きく前に進めるための総合経済対策を10月中に取りまとめる」と意欲を示した。政府は9月8日に物価高騰への対応として、電気・ガス等のエネルギーや食料品等の価格高騰に苦しむ生活者、事業者への対応として総額6000億円の地方創生臨時交付金を設けた。支援対象先には地域の医療機関等も含まれている。 ◎ヒト、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXへの官民投資を推進 この日の諮問会議では、物価高騰対策を主眼に、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けて、ヒトへの投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった成長分野への官民投資を推進する方向を民間議員から提案した。政策課題には社会保障分野も含まれる。具体的な施策では「医療・介護DX」の推進を掲げた。6月に閣議決定した骨太方針2022では、岸田首相を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」の設置を明記したほか、「全国医療情報プラットフォームの創設」、「電子カルテ情報の標準化等」、「診療報酬改定DX」の取り組みを行政と関係業界が一丸となって進める方向もすでに示したところ。 ◎インセンティブ改革の推進等による医療費・介護費の適正化も 一方、医療・介護サービスの機能分化・連携の徹底に加えて、気になるところでは、インセンティブ改革の推進等による医療費・介護費の適正化にも取り組む方針を示している。インセンティブ改革については、「健康ポイント制度」など、これまでも度々議論の俎上にあがっている。個々人の健康努力を支援し、医療・介護の必要を抑制するというもの。過去には病床の再編加速を狙った診療報酬による誘導や、過剰投薬や残薬問題を解消するための報酬体系の見直しも議論されている。岸田内閣が掲げる「新たな資本主義」ではDXの推進も政策課題の一つに掲げており、マイナンバーカードによるオンライン資格確認や23年1月から導入する電子処方箋などの利活用も視野に入れているようだ。 ◎物価高騰による医療機関経営への影響をどうみるか? 加えて、見逃せないのが物価高騰による医療機関経営への影響だ。病院、診療所、薬局にとって、エネルギー価格高騰による電気代上昇に加えて、原材料価格の高騰に伴う医療機器・診断薬価格も上昇しており、卸業者と医療機関の間で値上交渉も今秋から始まっている。一方で医療用医薬品は公定価格(薬価)のため、直接的に物価高やエネルギー価格高騰に伴う影響は出ていないが、すでに厚労省に設置した流通・薬価に関する有識者会議において、不採算品目の薬価引き上げを求める声も一部の有識者や製薬業界内から出ている。同省も物価高騰や為替変動による不採算品の状況調査で関係業界に事務連絡を発出した。いずれも23年度予算編成に直結する毎年薬価改定の議論とも絡むことから、昨今の経済状況が少なからず影響を及ぼすものとみられる。

続きを読む

ラゲブリオの国購入品の配分終了へ 9月15日15時までの依頼分で 一般流通開始で事務連絡

厚生労働省は、MSDの経口新型コロナ治療薬・ラゲブリオカプセル(一般名:モルヌピラビル)の一般流通が9月16日から開始されることを受けて、国が購入したラゲブリオ(=国購入品(厚労省所有品))の配分を15日15時までに配分依頼があった分の配送をもって終了すると周知した。自治体に9月8日付で事務連絡した。

続きを読む

協和キリン データドリブンな営業モデル構築へ 所長向け「デジタルリテラシー研修」で目に見える変化

協和キリンは2021年7月に営業支援システムを刷新し、現場MRの強みをデータで補強するデータドリブンな営業モデルの構築に取り組んでいる。営業本部に新設した「営業デジタル推進室」を軸に、これまで営業所長向けの研修を2回行った。研修はデジタルリテラシー向上を主眼としたもの。研修受講後には、活動後24時間以内に日報を入力する割合が上昇するなど、その成果も見え始めているという。 ◎21年4月に「営業デジタル推進室」新設 同社は営業支援システムの刷新に先駆けて、21年4月に「営業デジタル推進室」を営業本部に新設した。同推進室の戸田圭紀グループ長(デジタル企画グループ/データアナリティクスグループ)は、「新システムはローンチしたものの業界内でデジタルの取り組みが遅れていた。外部調査の結果からはデジタルを用いたアプローチが少し見劣りしており、なんとかシステム導入の遅れを、運用で取り戻したいと考えた」と語る。また、「当社に一番合うやり方ですすめていけば、現状の周回遅れを少しでも縮められると考えた」と強調する。 そこで考案したのが、営業のフロントラインをカバーする所長やMRを対象とした研修だ。「デジタルリテラシーの向上により、営業本部内に積極的にシステムを活用する雰囲気を作りたい」との想いからデジタル企画グループの堀内祥仁マネージャーと具体的な方法についての検討に着手した。堀内氏も同様に外部調査の結果が芳しくないことに問題意識を感じていたという。熟考の結果、「現場マネジメントの最前線にいる営業所長の率先垂範が効果的」との結論に辿り着き、「見る立場でもあり、見られる立場でもある営業所長が実践してこそ、デジタルの必要性と有用性がMRに伝わる」とその意図を説明した。 営業所長研修は2回に分けて行われた。21年末に行った1回目の研修では、デジタルリテラシーに絞ってプログラムを実施した。堀内氏は、「ここは非常にスタンダードな内容を理解して頂き、腹落ちしやすいような環境を整えた」と強調する。2回目の研修では、1回目の内容をベースにMRに展開する資料(マテリアル)を作成した。例えば「現場の医師にこんなことを聞いてみて欲しい」だったり、「自分たちの認識に齟齬がないかどうか」など、実用的な内容にアレンジメントしたという。堀内氏は、「軸を営業所長にして、自らが受けた研修の均一化した内容、統一化されたマテリアルで展開することにより、効率的に1100人のMRのデジタルリテラシーを上げていくことができる」と強調する。加えて、担当する営業所の特性を考慮して、「営業所長が一定のアレンジメントを自由に加えられるようにした。そのやり方は営業所長に一任した」と明かしてくれた。 ◎日報の早期入力が大幅改善 具体的に可視化された事例も出てきている。営業デジタル推進室では、21年7月以降の新システムに関する様々な状況をトラッキングしてきた。例えば、日報の早期入力を所長やMRに求めているが、研修前と研修後を比較して早期入力は約20%改善した。堀内氏は、「たぶん所長から(新システムで)“情報を蓄積していこう”という声があったと想像できた。そこでMRもやってみようということになったのではないか。所長の号令に皆がついてくるような良い組織だと感じた」と語っている。 ◎「営業本部Our Vision 2025」にデジタル技術チャレンジも 新システムの刷新と同じタイミングで営業本部長に曽根川寛氏が就任する。曽根川本部長は「営業本部Our Vision 2025」を策定する。ビジョンでは、Continue to Challengeとして、「今まで築き上げてきた歴史と経験に加え、デジタル技術やエリア担当制など新しい“もの”を積極的に取り入れ、自分たちの壁を乗り越えるチャレンジを続け、グローバル・スペシャリティファーマにおいて輝き続ける最高のチームになろう」と書き込んだ。 営業デジタル推進室の野口雅弘室長は、「このビジョンの啓蒙活動をやってきた時期とも重なった。ビジョンにはデジタル技術を積極的に取り入れることもメッセージとして刻んだことも、奏効する一因となったのではないか」と話す。「誰も取りこぼさない」―― 野口氏は強調する。「所長が若い人にデジタルは任せておけば良いとうい形には絶対ならないように進めてきた。だから最初から所長向けの研修とした」とも強調する。また、研修では所長同士のディスカッションも取り入れたことを明らかした。「若手所長からベテラン所長まで、単にデジタルの話だけでなく、自分たちのツールやシステムの話を通じて自覚を持ち、意識をあげることができたのではないか」と述べ、まずは第2弾の取り組みに安堵感を表明した。

続きを読む

NPhA調査 後発品供給不安で「実際の流通状況と製薬企業の情報との乖離」6割が指摘 適時的確性に課題

後発品の供給不安が続くなかで、実際の流通状況と製薬企業からの情報との間に乖離を指摘する管理薬剤師の声が約6割にのぼることがわかった。日本保険薬局協会(NPhA)が9月8日の記者会見に示したWeb調査結果から明らかになった。後発品の流通状況について適時・的確に入手できているとの回答は2割にとどまった。流通問題検討委員会の畔上和也氏は、予定通り医薬品が納入されなかったために患者に手渡せないなどの事態が起きていると説明。「我々だけではなく、その先には患者がいる。流通情報が乖離しないよう、メーカー、医薬品卸により一層注力、努力いただきたい」と呼びかけた。 調査は、日本保険薬局協会(NPhA)の流通問題・OTC検討委員会・薬局機能創造委員会が会員薬局の管理薬剤師を対象にWebで実施した。アンケート実施期間は7月27日~8月24日までで、3548薬局から回答を得た。後発品の供給不安をめぐっては、ジェネリックメーカーが増産などの対応を取っているものの、医療現場からは供給不足を指摘する声が依然としてあがっている。過去の取引実績などを踏まえた対応による在庫の偏在や、情報提供不足などの課題も指摘されている。 ◎「後発品の流通状況が適時・的確に入手できない」は5割超 調査では、後発品の流通状況について適時的確に入手できているか尋ねたところ、「全く思わない」が13.4%、「あまり思わない」が39.6%で5割超を占めた。「とても思う」は1.6%、「やや思う」が19.1%、「どちらとも言えない」は26.3%だった。 実際の後発品の流通状況と製薬企業からの情報との乖離があるか尋ねたところ、「とてもある」が18.4%、「ややある」が37.2%で、情報に乖離があるとの回答が約6割を占めた。「どちらとも言えない」が30.6%、「あまりない」は12.8%、「全くない」は1.0%にとどまった。一方、実際の後発品の流通状況と医薬品卸の情報について、乖離が「とてもある」は9.1%、「ややある」は29.0%で、約4割だった。「どちらとも言えない」が35.5%、「あまりない」が24.6%、「全くない」が1.7%だった。 製薬企業からの流通情報の開示・提供が適時・的確かを尋ねたところ、「全く思わない」が18.4%、「あまり思わない」が37.1%で、あわせて6割を占めた。「どちらとも言えない」は23.1%、「やや思う」は18.5%、「とても思う」は2.8%だった。医薬品卸の情報提供については、「全く思わない」が11.4%、「あまり思わない」が30.0%、「どちらとも言えない」が23.6%、「やや思う」が28.3%、「とても思う」が6.7%だった。 ◎「薬局規模で優先順位をつけないでほしい」、「メーカーが患者に説明しないことが問題」との声も 自由回答では、「どこに薬を配分するか卸の裁量で決まってしまうため、出荷調整がかかる前から定期的に購入していた医薬品まで全く入庫しなくなったりしている。薬局の規模などで優先順位をつけないでほしい」、「後発品以外の薬剤も出荷調整となっているなかで、購入実績がない薬局への納期がわからないと回答されることが多く、新規に受け付けた処方箋の薬剤が入手できないなどの問題がある」、「安定して同じメーカーの後発品が入ってこないため、毎回違うメーカーでお渡ししている。調剤過誤の原因にもなりそうで困っている」などの回答が寄せられた。 「流通の安定化はメーカーの義務であると認識している。何ら頭の罰則が必要ではないか。“納品できません”だけではなく、どういった対応が適切であるのか等、対応方法についてもメーカー、卸協力のうえ、最善の検討を行ったうえで、情報伝達してほしい」、「薬局が原因となっているものではないのだが、結果として患者からのクレームが薬局へと向かってしまっている。メーカーから患者への説明がないことが問題だ」など、製薬企業の姿勢を問う声もあがった。 ◎畔上氏「メーカー側も卸に出荷して終わりではなく、店舗に届くまでサポートいただきたい」 畔上氏は、「卸やメーカーに流通状況を確認し、明日納品と聞いていても、実際にはその日に納品されない。過去実績に応じて納品されるため、タイムリーに納品されないこともある。医薬品卸のセンターには納品されているはずだが、偏在が起き、局所的に納品されないこともある。実際に現場では、患者さんにお渡しする予定の医薬品がお渡しできず、困っている」と説明。「卸は現場に近いので情報の精度は高いが、メーカー側も卸に出荷したから終わり、ではなく、きちんと店舗に届くまでサポートいただきたい」と話した。 なお、後発品の流通状況について22年1月時点と比較して尋ねたところ、「悪化している」は33.3%、「やや悪化している」が21.8%、「変わらない」が30.6%だった。「やや改善された」は14.2%、「改善された」は0.1%にとどまっており、依然として供給不安が続いている状況にあることも浮かび上がった。

続きを読む

NPhA・首藤会長 Amazonのビジネスモデル「我々にできないことはない」 リアル店舗の強みに自信

日本保険薬局協会(NPhA)の首藤正一会長(アインホールディングス)は9月8日の記者会見で、米アマゾン・ドット・コムが中小薬局とタッグを組み、国内の処方薬のネット販売に参入するとの一部報道について、「アマゾンがやろうとしていることに関して、我々にできないことは基本的にはないと思っている」と牽制した。特に、リアル店舗での強みに自信をみせ、「かかりつけ薬剤師機能を含めて、機能をどれだけ高めていけるかにかかっている」と話した。 ◎Amazonの日本参入「我々業界にとっては驚くようなことではない」 米アマゾンは2018年にオンライン薬局大手のピルバックを買収し、「Amazon Pharmacy」を立ち上げ、米国で処方薬のネット販売に参入している。首藤会長は同社の日本市場での事業参入について、「アマゾンが実際に薬局に話を持ちかけてきたこともあり、十分予想されたこと」と明かし、「我々業界にとっては驚くようなことではない」と強調した。アマゾンの参入については、「仮にアマゾンが法的なものをクリアし、安全性も担保したなかでこういう事業をやってくるということであれば、利用する患者側にとっては選択肢が増えることであり、悪いことではないと認識している」とも話した。 ◎「かかりつけ薬剤師機能を含めて、機能をどれだけ高めていけるかにかかっている」 そのうえで首藤会長は、「脅威に感じていることはたくさんあるが、いまに始まったことではないと思っている。数年前からどう対応するかは準備を進めてきた」と自信をみせた。特に、リアル店舗の強みを強調。「我々がどれだけリアル店舗を患者にとってなくてはならないものだという認識を与えるようなものに仕上げていくか。かかりつけ薬剤師機能を含めて、機能をどれだけ高めていけるかにかかっている」と話した。 日本で薬局ビジネスに参入する際のアマゾン側の最大のメリットは患者宅への配送にあると言われる。首藤会長は、「配送に関して、宅配の食事などを絡めてやることも実証実験で行っているところもある。準備はいくらでもできる」と反論する。23年1月に電子処方箋の導入も予定されるが、「電子処方箋に関しても我々の得られるメリットがずっと大きいと思っている。これにより、アマゾンの参入が加速されて困るとは思っていない」とも話した。 ◎電子処方箋 会員の5割が「23年3月までに全薬局導入を目指す」 同日の会見では、電子処方箋についての調査結果も報告。「23年3月までに全薬局において導入を目指す」と回答した薬局が53社(53.5%)、7788薬局(61.3%)と、積極的な姿勢で臨む薬局の多いことを紹介した。なお、調査はNPhA正会員を対象にWebアンケートとして実施し、101社、1万2714薬局から回答を得た。 首藤会長は、普及に向けた課題として、薬剤師の認証に用いるHPKIカードにかかるコストが高額になることをあげ、懸念を表明。「民間署名サービスなどが使えるなど、柔軟に対応していただければ電子処方箋の導入が進むのではないか」と改めて訴えた。

続きを読む

デジタルヘルスケアサービス、一気通貫で提供へ  アルフレッサ・福神社長、国内外でIT企業との提携推進

 アルフレッサの福神雄介社長は、医師の働き方改革などで医療機関の業務改善が求められる中、こうした課題の解決につながるデジタルヘルスケアのサービスを一気通貫で構築する考えを示した。海外も含め関連技術を持.

続きを読む

アンジェス HGF遺伝子治療用製品・コラテジェンの「慢性動脈閉塞症の安静時疼痛」の国内開発中止

アンジェスは9月7日、HGF遺伝子治療用製品・コラテジェン筋注用(一般名:ベペルミノゲン ペルプラスミド)について、「慢性動脈閉塞症における安静時疼痛」の適応追加に向けた国内開発を中止すると発表した。第3相臨床試験のデータ分析を行った結果、安静時疼痛に関する主要評価項目である二重盲検試験期(ステージ1)において、12週後の安静時疼痛(VAS)の投与前値からの変化量でプラセボ群に対して有意差を見出すことができなかった。今回の開発中止に伴う業績や財政状態への影響は「軽微」としている。 HGF遺伝子治療用製品は、同社設立以来手がけてきた主力のプロジェクト。コラテジェンは2019年3月に、国内における慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍の改善を効能、効果又は性能として条件及び期限付きで承認されたもので、国内初の遺伝子治療用製品として登場した。製造販売後承認条件評価のための目標症例数の患者登録は完了しており、同社は「慢性動脈閉塞症の下肢潰瘍の改善を効能、効果又は性能とする本承認の取得に向けた申請の準備を計画どおり進める」としている。 コラテジェンはヒト肝細胞増殖因子(HGF)を発現するプラスミドDNAを主成分とする再生医療用等製品。標的細胞である下肢の筋肉細胞内に取り込まれ、細胞内で転写・翻訳されて、HGFを産生・分泌する。HGFの血管新生作用によって、虚血部位の血管数と局所血流量を増加させ、虚血状態を改善する。 ◎新型コロナの武漢型DNAワクチンの開発中止、経鼻投与の改良型DNAワクチンを研究へ 同社はこの日、新型コロナ(武漢型)に対するDNAワクチンの開発を中止するとともに、経鼻投与の変異株対応DNAワクチン(改良型DNAワクチン)の研究を開始することも発表した。 武漢型DNAワクチンの開発では、高用量製剤に関する第1/2相臨床試験の投与が完了し、データ分析を行っていた。速報データではあるものの、安全性は確認された一方で、主要評価項目とした12週後のSARS-CoV-2のシュードウイルスに対する中和活性及び12週後のSARS-CoV-2スパイク(S)糖タンパク質特異的抗体価が期待する水準には至らず、高用量を含む武漢型に対するDNAワクチンの開発中止を決めた。 ただ、武漢型DNAワクチンの研究開発の知見を活かして、プラスミドの発現効率や導入効率の向上などプラットフォームの見直しを行い、並行して、将来発生する可能性のある新たな変異株を視野に入れて、オミクロン株の最新変異株(BA.5等)に対しても有効な改良型DNAワクチンの研究を始めることを決めた。さらに、ウイルス性肺疾患に対し、広範な免疫応答を刺激し、ウイルスの増殖防止、拡散の阻止が期待されるワクチンの経鼻投与製剤の研究開始も決定した。この改良型DNAワクチンの経鼻投与製剤は、米国スタンフォード大学との共同研究で進める。共同研究期間は概ね3年、研究費は概ね300万ドルとなる。

続きを読む

サイト内検索