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認知症治療薬・アデュカヌマブ 米CMSの保険適用制限案にエーザイが声明「強く反対する」

認知症治療薬・アデュカヌマブ 米CMSの保険適用制限案にエーザイが声明「強く反対する」 エーザイは1月13日、認知症治療薬・アデュカヌマブなどについて、メディケア・メディケイド サービスセンター(CMS)が保険適用を制限する案を提案したことに対して、「強く反対する」との声明を発表した。CMSは、臨床試験での使用のみを保険適用とするNational Coverage Determination (NCD)案を示していた。同社は、「アルツハイマー病当事者のアクセスを制限し、遅延させる」と反発している。CMSは意見公募を経て、4月11日までに最終決定を発表する予定で、同社はこの間に正式な見解を提出する方針。

◎CMSのNCD案 RCTでの使用に対してのみ保険適用可に 脳出血などリスクを指摘

CMSが1月11日に発表したNCD案では、アルツハイマー病に対するアミロイドを標的とするモノクローナル抗体について、CMSが承認するエビデンス構築を目的としたランダム化比較試験での使用に対してのみ保険カバレッジをすること(CED)を提案していた。なお、アデュカヌマブ(米国製品名:Aduhelm)は、現在米国でFDAから承認を受けた唯一のアミロイドベータを標的とするモノクローナル抗体。

CMSのDr. Lee Fleisherチーフメディカルオフィサー・臨床基準品質センターディレクターは、「この治療は有望である可能性がある一方で、患者に害を及ぼす可能性もある」と指摘。頭痛やめまい、転倒、脳出血などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるとした。そのうえで、リスク・ベネフィットを考慮し、臨床試験での使用のみを保険適用とする

◎患者のアクセス制限に懸念 不公平の拡大も 

同社は、「すべての抗アミロイドβ抗体を同一に扱い、重要な進行中の臨床試験を考慮せず、メディケア受給者のアクセスを厳しく制限する NCD 案は、健康格差を拡大させることになり、支持することはできない」と強調。「医薬品の安全性と有効性を審査決定する上での米国食品医薬品局(FDA)の役割、ならびに FDA の規制の自律性と科学的独立性に直接疑問を投げかけることになることを懸念する」と続けた。

特に、患者のアクセスが制限されることに懸念を示し、「臨床医に大きな負担をもたらし、治療に適合するメディケア受給者のアクセスを厳しく制限し、限られた一部の当事者しか治療を受けることができなくなる。承認された薬剤のドラッグアクセスにおいて大きな不公平が生ずることを懸念する」と指摘した。臨床試験の実施が要件となり、病院の外来患者に制限されることで、「治療を受けられる医療機関が限られた地域に集中し、治療のために移動する費用や支援を持っていない当事者様へのさらなる不平等の拡大が懸念される」としている。

◎FDAの迅速承認制度の「意義を損なう」 “負の影響”は「計り知れない」

また、今回の保険適用の制限で、「FDAによる迅速承認制度の意義を損ない、またイノベーションを評価する FDA の役割を侵害する可能性があり、深刻な懸念を抱いている。今回の CMS の判断が、他の疾患に対する前例となるリスクを憂慮すべき」、「迅速承認薬剤の中でなぜ深刻な疾患である アルツハイマー病に対する治療薬が唯一保険カバレッジを制限されるのか、また、この制限が、アルツハイマー病当事者、介護者および広範な医療制度にどのような負の影響を及ぼすかは計り知れない」としている。

また、現在開発中のレカネマブにも、同様の制限が敷かれることもけん制。「FDAによって承認されていない開発中の薬剤に対してNCDを介したCEDを適用することは、臨床試験データと承認内容を事前に判断することになり、恣意的であり、前例がない」と指摘。「当社は、すべての抗アミロイドβ抗体が同一であるという仮定に基づいて、これらの開発中の薬剤に CEDを適用する提案は誤りであると考えている。失敗した臨床試験結果に基づく知見を全く異なる薬剤に適用することも非科学的だ。当社は、CED 要件を現時点で開発中の薬剤に適用することは適切ではないと考えている」とした。なお、アミロイドβ仮説に基づいて、複数のメガファーマが開発にしのぎを削ったが、いずれも開発に頓挫してきた経緯がある。

同社は、「CMS が、アルツハイマー病に対する抗 アミロイドβ抗体の NCD の方針案を再検討することを強く求める」と主張している。

なお、アデュカヌマブをめぐっては、21年6月に米国で迅速承認されたが、欧州では承認が見送られ、日本でも継続審議となっている。

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