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国産ワクチン開発の司令塔「SCARDA」発足 出口戦略見据えた戦略的ファンディングで迅速実用化へ

国産ワクチン開発の司令塔「SCARDA」発足 出口戦略見据えた戦略的ファンディングで迅速実用化へ 国のワクチン開発推進の司令塔機能を有する「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」が3月22日、発足した。平時から、実用化を見据え、基礎研究から実用化に向けた開発まで一気通貫で、戦略的な研究費のファンディングを行うことで、ワクチンの研究開発を強力に推進する。得られた知見や技術、エビデンスを活用することで、有事におけるワクチンの早期実用化につなげたい考え。新型コロナワクチンの開発をめぐっては、欧米に遅れをとったことが指摘されていた。国をあげ、産官学一体となった体制を整備することで、国内のワクチン開発推進にアクセルを踏む。

◎プロボストに元第一三共専務執行役員の古賀淳一氏が就任

SCARDAは、日本医療研究開発機構(AMED)内に設置する。当初は30人程度を配置。戦略的なファンディングやマネジメントを担うプロボストには、元第一三共専務執行役員(グローバルヘッドR&D)の古賀淳一氏が同日付で就任した。なお、センター長は4月1日に就任予定で、3月中は三島良直理事長が兼務する。

あわせて、SCARDAのセンター長、プロボストや、健康・医療戦略推進事務局長、厚労省、経産省、文科省、大学病院などのフラグシップ拠点長らが集う、「戦略推進会合」を設置。省庁横断的に定期的な情報交換を行うことで、基礎研究から臨床研究、実用化まで切れ目のない支援につなげたい考えだ。

◎「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」の公募スタート 情報収集・分析に力

AMEDでは同日から「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」と「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」の2事業の公募をスタートさせた。「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」は、国の定める重点感染症について、安全で有効な、国際的に貢献できるワクチンを国内外に届けることが目的。当面は新型コロナワクチンなどへの開発支援が中心となる。ワクチンそのものの開発に加え、mRNAやウイルスベクターなどで付加価値の高い技術や、革新的術など、新規モダリティの開発も支援する。探索研究や非臨床研究については、「アジュバント・キャリア技術支援ユニット」、「非臨床薬効評価支援ユニット」を設置し、共通の課題克服をサポートする。非臨床薬効評価支援ユニットでは、採択前でもワクチン横断的に薬効評価を行うことを支援する。

公募は常時行い、SCARDAが分析評価し、開発を推進すべきワクチンを選定する。開発戦略の策定や、研究開発のマイルストーンの設定と、それに基づく適時の投資判断などを行う。ワクチンについては臨床第2相試験まで最大30億円、新規モダリティについては臨床第1相試験まで最大10億円を支援する。有事には、新たに公募を行うことなく、迅速に研究開発を開始することを視野に入れる。

支援は、基礎から探索研究、非臨床(薬理・安全性)、臨床試験、製造までを見据えた支援を行うのが特徴となっている。SCARDAの目利きが重要になるなかで、情報収集・分析にも力を入れる。センター長やプロボストの人脈も活用し、国内外のワクチン開発や新規モダリティについて研究開発動向や企業・アカデミアの有する技術、感染症発生動向などを広範に把握する体制を整備する方針だ。

◎21年度補正予算でワクチン・新規モダリティ事業は1500億円規模

新型コロナワクチンをめぐっては、国民から国産ワクチン待望論が高まったが、欧米に後れを取った。政府が昨年6月に閣議決定した「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に、「戦略性を持った研究費のファンディング機能の強化」が明記され、戦略的な研究費配分を行うSCARDAを設置することが盛り込まれた。21年度補正予算では、「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」として1504億円、「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成」として515億円を確保している。

同日会見した内閣府健康・医療戦略推進事務局の八神敦雄事務局長は、「ワクチンの開発はリスクが高く、企業にとっても研究者にとっても手を入れづらい。強力にテコ入れする必要がある」と事業の意義を説明した。

◎AMED・城理事 「供給まで視野に入れて非臨床、臨床を支援」

日本医療研究開発機構(AMED)の城克文理事は、「従来からワクチンに取り組んできた企業は、製薬業界の中でもかなり厳しい状況にあったのは事実だ。モダリティが新しくなっているが、これまでは簡単に着手できなかった」と説明。SCARDAでは「ファンディングのなかで見ていくことに加え、アジュバント・キャリア技術など企業が投資しづらい面での支援や、海外情報の提供など、様々な支援を出していきたい。それぞれの企業の情報収集力は素晴らしいと思うが、どうすれば実用化に近いか、意見交換しながら、一緒に作っていきたい」と表明した。

また、「生産のキャパシティーを含めた相談をしながら、供給まで視野に入れた計画のなかでまずは非臨床、臨床を支援する形で進めたい。実際に緊急時の開発まで含めて予算の支援をしたい」と語った。

AMEDの丈達泰史創薬事業部長は、「企業の方からは、企業としてどこまでリスクを取れるかが問題になり、やりたくでもやれないことが多々あると聞く。SCARDAの目利きにより、企業でも手を出しにくい部分においても背中を押してあげることができることが重要ではないか」と話した。
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