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日医・宮川常任理事 医薬品の安定供給「患者の生命にかかわる安全保障として業界全体が取り組むべき」

日医・宮川常任理事 医薬品の安定供給「患者の生命にかかわる安全保障として業界全体が取り組むべき」 日本医師会の宮川政昭常任理事は3月27日の臨時代議員会で、後発品を中心とした医薬品の安定供給について、「後発品をはじめとした供給不足は製造の不備のあった企業に限られた問題ではない。患者の生命、健康にかかわる安全保障の問題として医薬品業界すべてが取り組むべき問題と考えている」と述べた。「抜本的な解決策は供給停止や出荷停止となっている医薬品の供給再開、増産だ」と強調。「各社の医薬品の製造管理・品質管理体制、品質保証体制、および安全管理体制を一層の強化を図る取り組みを求めていく。医療現場への情報提供の充実や供給不安解消に向けた取り組みの強化を求める」と述べた。

医薬品の安定供給については3月16日の定例会見で、中川会長が日本製薬団体連合会(日薬連(日薬連)にリーダーシップで早急な対処をすることを求めていた。宮川常任理事は25日に、「日薬連、製薬協の連名で製薬企業各社の使命である安定供給確保に向けた最大限の対応を実施、継続するとの文書での回答をいただいた」ことを明らかにした。

◎医薬品が供給されないことは「何よりも患者さんの不利益」 国の指導求める

宮川常任理事は、「供給不安の原因としては、企業が特定の卸のみ契約することや、卸の医療機関に対する供給の姿勢などが考えられる」との見解を表明。「安定供給に資する施策の一つとして長期処方を抑えることもある」とも言及した。

そのうえで、「医薬品の供給がされないということは何よりも患者さんの不利益だ。今まで処方されていた薬が処方してもらえない患者さんは大変不安に思うはずだ。供給がはっきりしない状況は我々医師にとっても決して納得するということではない。国に対しても企業への増産や製造再開にかかる指導、地域での医薬品の供給の偏在解消に取り組むこと、卸を含めた流通状況についての情報の提供を今後も強く求めていく」と強調した。

◎製薬企業の情報提供は「国、都道府県主導で」 迅速な情報提供求める

製薬企業などから医療現場への情報提供が不十分であることも指摘されるなかで、「現場の医療機関、薬局に対し、製薬企業が医薬品の供給情報を適宜適切に情報提供することは国、都道府県主導により実施すべきことと考えている」と述べた。

厚労省医政局経済課が銘柄別の供給状況を通知したが、「迅速な情報提供にはなっていない」と指摘。「国の情報提供はいまだ不十分だ」と述べた。「発注量の精査や代替薬の選択に資する情報を提供できるよう、引き続き厚労省、製薬業界に強く働きかける」と強調した。

◎後発品の新目標で「数値が先立つことは問題」 まずは安定な医薬品の供給を

このほか、後発品の使用促進をめぐっては、「2023年度末までに全都道府県で80%以上」との新目標が掲げられている。供給不安が続く状況のなかで、「数値が先立つことは問題であろうかと思う」と指摘。現在の状況が続けば、「80%を達成することは難しい」とも見通した。

そのうえで、「日本医師会としては、信頼される後発品が適切に流通されないまま、使用を無理やり促進すべきではないという立場に変わりはない」と強調した。「安全な後発品の安定供給という本来の姿があれば、我々は医師、薬に対して安心と自信をもって患者さんに処方でき、数値目標を立てる必要もない」とも述べ、まずは品質が担保された安心して処方できる後発品の供給を求めた。

◎安易な共同開発も問題視

現在も3000品目以上の医薬品の供給不安が続く。こうした事態の背景について宮川常任理事は複数の要因があると指摘した。「後発品供給不足の問題は、小林化工、日医工、長生堂製薬をはじめとする後発品メーカーの製造管理および品質管理体制の不備により、薬機法による処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止、縮小したことが大きな要因。品質よりも利益を優先する誤った経営方針がある」と述べた。また、「後発品メーカーが多すぎることの弊害もある。そのため、先発医薬品に対する後発品銘柄数が多くなり、寡頭競争となっている。その原因の一つである安易な共同開発という薬事承認の仕方も日本医師会としては問題視してきた」との見解を示した。

さらに、「多国籍で多数の企業が関与する複雑なサプライチェーンがある。原薬などについて中国をはじめとする海外に依存する製造工程は大きな構造的問題であり、セファゾリンなどの供給不足の問題を引き起こした」ことも指摘した。厚労省が昨年9月に公表した医薬品産業ビジョンにも課題が明記されているが、「書いただけで終わらせないよう、国に対応を強く求め、注視していく」とも述べた。

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