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22年度診療報酬改定では、体外受精などの基本治療すべてが保険適用とされた。杉山理事長は、▽排卵誘発法の低刺激と高刺激で保険点数に大きな差がついている、▽受精数やより成長した胚盤胞数によって保険点数に差がついている、▽移植に関する点数が高い―ことなどをあげ、診療報酬改定を評価した。
ただ、制度スタートから間もないなかで、どの薬剤が保険適用されているかわかりづらく、現場は混乱していると指摘した。また、保険適用を受ける場合には、夫やパートナーが同席して、治療計画書の作成が必須となっていることについて、コロナ禍で待合室の人数を減らそうとしていることや、同席者の都合がつかずに治療を先送りする実例がみられることから問題意識を示した。
◎杉山理事長「自費より2~3割程度自己負担減」
多くの自治体で不妊治療費助成が導入されており、自己負担の増加も懸念されるが、杉山理事長は、体外受精について複数のモデルケースを提示。「当院の場合、自費より2~3割程度自己負担が減る」と見通した。セミナーには、不妊症患者らを支援するNPO法人Fineの松本亜樹子理事長も登壇し、「これまでは、途中で高額な治療費を払えなくなり、治療を断念する患者が後を絶たなかった。今回の保険適用は非常に意義あることと思っている」との見解を示した。
このほか、不妊治療をめぐっては、当事者が働く世代であることから、仕事との両立も課題としてあげられている。パネルディスカッションでは、慶応義塾大学の吉村泰典名誉教授(前内閣官房参与)が、今年新設された人事院の出産サポート休暇について紹介。「通院のために有給休暇を時間単位でとれるなどの特徴がある。民間企業にも広がっていくといい」と訴えた。