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ノボ・ベック社長 21年国内業績11.7%増も「日本での新薬開発回避」を示唆 薬価政策を批判

ノボ・ベック社長 21年国内業績11.7%増も「日本での新薬開発回避」を示唆 薬価政策を批判 ノボ ノルディスクファーマのオーレ ムルスコウ ベック代表取締役社長は4月20日会見し、日本政府の薬価政策を批判し、自社の開発動向として、「日本での開発を避ける可能性もあると想定している」と述べた。同社の2021年国内売上高は前年比11.7%増の1092億円で、初の1000億円を突破した。ただ、国内の医療用医薬品市場が横ばいであることから、「日本市場の魅力は薄れている」と指摘。同社の国内開発についてグローバルよりも遅れる可能性があるとして、「日本がセカンド・ランクになっているかもしれない」と指摘。「薬価政策をどうするか、政治家を説得して何とかしなければならない」と述べた。

◎国内売上高は11.7%増 初の1000億円を突破

同社の2021年国内売上高は対前年比11.7%増の1092億円。領域別で64%を占める糖尿病が売上を牽引し、糖尿病市場全体の11.9%のシェアを確保した。特に、2020年6月に発売したオゼンピック皮下注SD、21年2月に発売したリベルサス錠がマーケットシェア拡大に貢献した。拡大するGLP-1市場でも、同社として60%近くの金額シェアを確保した。

インスリンについては、前年から金額シェアを1.2%伸ばし、61.2%のシェアを確保した。ベック社長は、「セグメント全体で金額として伸ばすことができている」と説明。持効性インスリン・ゾルトファイがマーケットシェア(金額ベース)で19.0%を獲得するなど伸長。一方で、バイオシミラーが参入した即効型インスリンについてはマーケットシェア50.9%と前年よりも金額ベースでのシェアを落とした。

◎22年度薬価制度改革は「ネガティブな変更で相殺」 原価計算方式、長期収載品の見直しで

同社が注力する国内の糖尿病市場全体はSGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬の伸びで、対前年比で5.1%伸びた。ただ、ベック社長は日本の医療用医薬品市場全体も2.2%増となったが、「市場規模は2016年度ほぼ同等」と指摘。「グローバルに対するシェアは縮小している。ランキングも下降し続けている。日本に対して新しい新薬を持ってくる魅力は薄れつつある」と述べた。

そのうえで、22年度薬価制度改革に言及。22年度薬価制度改革は、上市後の有用性を認め、新薬創出等加算の対象範囲を拡大するなど、イノベーションを評価する見直しが柱となっている。ベック社長は、「プラスの変更も見られた」とした。そのうえで、原価計算方式で最低の移転価格を使用するなどの見直しがなされたことや、長期収載品の薬価が適正化されたことを“ネガティブな変更”と指摘。「他のネガティブな変更もあり、(プラスの効果は)相殺されてしまった」として、「ネガティブな見直しを大幅に変更するほどには至っていない」とした。特に、原価計算方式に関連する見直しについては、「イノベーションを削ぐようなものではないか」と述べた。

ベック社長は、「これまでは、日本の見通しが明るくなくても、革新的な新薬を導入してきた」と述べ、これが結果として業績の伸びにつながっているとの見方を示した。そのうえで、「しかし、継続できるかは様子を見ないといけない。近隣諸国よりも、日本の優先度は落ちてくるかもしれない」と指摘。業界団体の意見を引き合いに、日本市場の魅力が薄れ、“セカンド・ランク”となりつつあることは業界全体の統一した見方であると主張。「薬価政策をどうするか、政治家を説得して何とかしなければならない。日本がドラッグ・ラグに再び陥ることを避けなければならない」と述べた。

◎杉井開発本部長「グローバルは日本を重視してくれている」

杉井寛取締役副社長開発本部長は、「臨床試験が連続して、途切れなく日本に来ることが最大の回答だと思っている。臨床試験は本社からすれば最大に近い投資だと思うし、日本の臨床試験の質はかなり評価されていて、複数の新しい臨床試験も来ている。これは嬉しい話で、開発のモチベーションにつながっている。ただ、単に開発するエリアとして捉えるのではなく、その後のマーケティング、メディカル、コマーシャル(営業)につなげていってくれているのではないか。開発の立場で希望的観測かもしれないが、グローバルでも日本をかなり重視し、信用してくれていると感じている」と述べた。

◎バイオファーマ事業本部立ち上げ

同社は今年3月、希少・超希少血液疾患、内分泌疾患、腎疾患領域に参入すると発表。現行の「バイオファーマ事業本部」の名称を「希少疾患事業本部」に変更し、希少疾患にコミットする姿勢を示している。ベック社長は、「いま現在、事業本部に移行するプロセスにある。新しい疾患領域に対応していくのかという準備期間だ。希少疾患としてのいま開発中の製品はまだ何年もかかるが、我々のコミットメントについて変わらない」と説明。現在、スタッフが1000人いることも説明した。


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