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アステラス製薬 「Mahol-A-Ba」をメディア公開 細胞の創薬利用プラットフォーム 10以上創薬研究に

アステラス製薬 「Mahol-A-Ba」をメディア公開 細胞の創薬利用プラットフォーム 10以上創薬研究に アステラス製薬は5月10日、同社つくば研究センターにある細胞の創薬利用プラットフォーム「Mahol-A-Ba」(まほろば)をメディア向けに公開した。Mahol-A-Baは、「匠の腕」(写真・上)と呼ばれる細胞培養の熟練研究者の技をロボット技術で自動化(デジタル化)。「匠の眼」(写真・下)として生細胞のリアルタイムかつ継続的な形態変化の観察で最新画像処理技術を導入した。さらに研究員が在宅から遠隔操作できるため、リモートを通じて世界中の研究者がリアルタイムで研究成果やデータを共有できるなど、創薬機会の創造と生産性向上によるコスト減に期待を寄せる。志鷹義嗣専務担当役員・研究担当(CScO)は、「細胞に関しては、これからが勝負だが、Mahol-A-Baの活用に関してはかなり先端を走っていると自負している」と胸を張った。

「これまでに獲得した知識や経験に、ロボティクスやAIの力を組み合わせて、優れた創薬技術の開発を目指す」―。志鷹専務担当役員はこう強調した。アステラス製薬が目指すデジタル創薬は、「ヒトとデジタルのベストミックスで、そこから開発候補品の高質化が得られる」とも語っている。これまで同社が培った低分子創薬は、数多くのデータの蓄積に加えてタンパク質構造解析技術で世界トップクラスの経験、質、数を積み重ねた。この強みは欧米のグローバル企業と比べても競争優位性を確実に発揮すると志鷹専務担当役員は強調する。一方でデジタル創薬の世界も低分子から新規モダリティにシフトしており、iPS細胞を含む創薬開発には、細胞培養や自動合成の分野で、「創薬研究力×日本の強みの細胞・ロボット・画像撮像/処理技術」を持つ新たなプラットフォームの構築が求められるという訳だ。

◎すでにiPS細胞による創薬活用に着手

「Mahol-A-Ba」の名前の由来は、まほろ(Mahol)を使った、アステラス(A)のプラットフォーム(場=Ba)だ。まほろばとは、「素晴らしい場所、理想郷」という意味もある。期待される用途としては、すでにiPS細胞による創薬活用に着手している。

「匠の腕」として、細胞培養を行う研究者の技を自動車の生産を行う産業ロボットの基盤を用いて数値化した。また、半導体産業で培ったオートメーション技術を使った自動細胞培養装置を導入した。計測、制御、情報の技術、異常の余地検知にはディープ・ラーニング機能を搭載した。この機能は「匠の眼」にも応用されている。さらに、分光光度計に始まるライフサイエンス機器やラボオートメーションソフトウエアなどの技術が「匠の眼」に採用された。こうした複数の技術を集積することにより、ロボットには不向きとされた「多品種少量生産型細胞」の生成を覆すことができ、逆に汎用性のあるプラットフォームを構築できたという。

◎「患者由来のiPS細胞を用いた筋分化系」を初見で成功!

「Mahol-A-Ba」は査読済み国際専門誌でもハイライトされた。特に驚きをもって注目を集めたのは、熟練者と同等のレベルで2か月以上にわたり未分化iPS細胞を維持できたことだ。日内日間差が非常に少ないことも評価された。さらに、技術移管でも、CiRAが構築した「患者由来のiPS細胞を用いた筋分化系」を初見で成功させた。従来であれば実験室に習いにいくと数日から数か月かかるものを初見で成功させたことは、まさに「匠の腕」が評価された瞬間だったという。

◎ヒット化合物の創出に強い期待 生産性向上では休日出勤の減でコスト効果も

「Mahol-A-Ba」の実績については、候補品の同定までは至っていないとしながらも、すでに10以上のプログラムで創薬研究に応用されている。熟練者以上の高精度、高再現性データで100~1000倍規模の実験が今後可能になるとみており、病態関連性仮説の検証や表現型スクリーニングを通じたヒット化合物の創出に強い期待を寄せている。また、生産性向上については、系構築期間の50%以上の短縮や試行回数の減少、さらには休日出勤の減などでコスト効果を発揮するとみている。

一方、将来的な課題として、IT人材の確保や育成などがあり、独自のデジタル創薬人材育成プログラムを導入していることも明かしてくれた。また、AI創薬の将来としては、バーチャル技術も駆使した「空間を超えた創薬活動」を現実化したい考え。さらに、グローバルの研究者ともリモートでデータやノウハウの共有を行う機会を広げるなど、デジタル創薬を可能にするプラットフォームのグローバル共有化にも取り組む考えだ。


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