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健康・医療戦略参与会合 健康・医療ビッグデータの利活用に期待集まる 22年は「医療DX元年」

健康・医療戦略参与会合 健康・医療ビッグデータの利活用に期待集まる 22年は「医療DX元年」 政府の健康・医療戦略参与会合(座長:小林鷹之健康・医療戦略担当相)は6月7日開かれ、産官学が集い、イノベーション創出に向けた施策をめぐり議論を行った。同日夕方に閣議決定された。骨太方針2022で医療デジタルデジタルトランスフォーメーション(医療DX)を推進することが明記され、デジタル化の流れが加速することが想定される。会合では、「今年は医療DX元年になるのではないか」(笠貫宏参与・Medical Excellence JAPAN理事長)との声があがるなど、健康・医療ビッグデータの利活用に期待の声が、産官学それぞれの立場から寄せられ、早急な環境整備を求める声があがった。

◎内閣府・大野副大臣「実行計画に基づきドライブかける」

会議冒頭で挨拶した大野敬太郎座長代理(内閣府副大臣)は、「骨太方針のなかで、最も重視されているのが、科学技術・イノベーションの政策だ。イノベーションの力をもって健康医療戦略をブーストアップして成長につなげていく。これをもって社会課題を解決していくことが必要になってくる。これを着実に実施していきたい」と説明。新しい資本主義実行計画にも、スタートアップの重要性が盛り込まれていることなどにも触れ、「閣議決定後に、実行計画に基づき、ドライブをかけていきたい」と意欲を見せた。

◎データの利活用で描く“患者中心の医療”実現

この日の会合では、データの利活用に議論が集中した。「データ活用によって価値の高い治療を受けられるデジタルヘルスの重要性は今後、ますます高まる。患者・国民が適切な医療を受けられるようにこの取り組みを支援し、成長戦略として産業の発展につなげていくことが必要だ」-。新しい資本主義実現会議の構成員も務める、日本総合研究所(日本総研)の翁百合参与は、デジタルの価値を患者中心の医療に活用できる環境を早期に整備することを求めた。

具体的には、プライマリケア医を中心に、オンライン診療・服薬指導、AIやアプリを活用することで、薬剤師や看護師、ケアマネジャー、介護福祉士、家族などがネットワーク化される姿を描く。これにより、患者側も、主体的に健康管理や治療に取り組む、患者中心の医療が実現するとの考えだ。翁氏は、「医療面や政策面で活用していくことが本当に目指されている方向だが、もっとスピード感をもって充実していく必要がある」と指摘。政策も、デジタルの特性を踏まえる必要性を指摘し、トライアル環境の整備と拡大、サンドボックス申請の簡易化トライアル参加プレーヤーのマッチング推進などを求めた。

笠貫参与は、今後の健康・医療データプラットフォームについて、「ゲノムオミックスからモバイル生体情報、環境生活情報を含めてッグデータ、新しい健康医療ビッグデータができてくるだろう。それをどう利活用するかは直近の課題だ」と指摘。政府は次世代医療基盤法の見直しなどで環境整備を進めるが、「個人情報保護法の対象は幅が広い、健康医療情報をどう取り扱うかもこの次に必要になってくるのではないか。次世代医療基盤法の検討は大事だが、さらに5年後を見据えた個人情報保護法の検討も進めていただきたい」と要望した。

中釜斉参与(国立がん研究センター理事長)は、「データヘルスの実現においては、データを収集するためのフォーマット化・統一化も重要だ。データの追跡性の観点からも、患者さんの疾患における転帰や予後が連結する仕組みが必要だ。がんにおいては全国がん登録があるが、利活用については制約がある。個人情報保護の観点から、それを踏まえた利活用の仕組みを検討することで、追跡性、安全性の高いシステムが必要なのでぜひ検討いただきたい」と要望した。

健康・医療データの連続性も求められるなかで、黒岩祐治参与(神奈川県知事)は、「健康医療データの利活用はこれからの一番の大きなテーマだ。医療情報はカルテということではっきりしているが、健康という情報をどう見るか」と問題提起した。

産業側の三村孝仁参与(日本医療機器産業連合会会長)も、「医療のスコープが広がりを見せる中で患者全体のフローをはあくする必要性が増している。データを一気通貫で利活用できるようなインフラを整えることが重要だ」と述べ、匿名加工情報の利活用など、さらなる検討に期待を寄せた。そのうえで、「その実現には、プログラム医療機器やサービスだけでなく、新たなビジネスモデルの創出が必須と考えられる。効率化された技術やサービスを適切に評価しなければ社会実装として進まない。評価軸や評価方法の研究、検討も国の事業として取り組んでいくことが必要ではないか」と述べた。

◎岡田会長「健康・医療戦略推進本部全体の横串を強く意識して推進を」

日本製薬工業協会(製薬協)会長の岡田安史参与は、製薬産業への政府からの投資についての問題意識を示した。岡田会長は、日本市場は世界で唯一縮小しているため、「医薬品産業は世界という舞台で事業活動を展開し存在意義を確立しないと生き残れない経営環境に直面している」と述べた。そのうえで、「一方で強く懸念しているのは、日本市場が縮小することで日本市場の魅力、投資優先順位が低下し、ドラッグラグに再燃しつつあることだ。日本市場の縮小は、日本国民に不利益をもたらすものと強く懸念している。国民の皆さんが革新的新薬に世界に遅れることなくアクセスするためには少なくともプラス成長する医薬品市場への転換は不可欠だ」と述べた。

また、「科学技術分野は、産業だけでなく、国家をあげての熾烈な競争になっている」との見方を表明した。そのうえで、税制を含む、研究開発投資の政府による支援が「主要国のなかで最も低い支援状況にある」と説明。モデルナの新型コロナワクチンの開発には、米国国防総省が巨額の投資をしたことを引き合いに、「国家安全保障という、この基盤についても、最先端のイノベーションも官民一体となった取り組みに他ならない。国民の健康、日本経済の成長、経済安全保障は国家存続の根幹だ。これらを守るためにも、ぜひ官民一体となってタッグを組んで国家戦略として医薬品産業政策を議論させていただきたい」と述べた。

岡田参与はまた、「大きな話」と断ったうえで、「要は、科学技術力をいかにして高めるか。新しい資本主義実行計画はある意味、大きな羅針盤だと思っている。様々な施策も、新しい資本主義実行計画と一体となって進むことが必要だ。健康・医療戦略推進本部全体の横串を強く意識して推進していただきたい」と要望した。
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