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日薬連薬価研 薬価中間年改定の対象範囲「極めて限定的に」 平均乖離率を割り込むことは適切でない

日薬連薬価研 薬価中間年改定の対象範囲「極めて限定的に」 平均乖離率を割り込むことは適切でない 製薬業界が今年最大のテーマに掲げる中間年改定について、日薬連保険薬価研究委員会(薬価研)は6月10日に公表した研究報告書で、「イノベーションの推進や医薬品の安定供給への影響も踏まえれば、対象範囲は極めて限定的にすべき」と主張した。“価格乖離の大きな品目”という趣旨に立ち戻り議論されるべきとして、「その趣旨を逸脱した方向で議論が進むのであれば、中間年改定の実施の是非を含めた検討が必要」とした。同日の説明会で、既収載品小委員会の田口伸行委員長(アステラス製薬)は、「少なくとも平均乖離率を割り込むようなところは我々としては適切ではないと考えている」と強調した。

◎薬価研研究報告 20年12月の薬価専門部会の経緯に言及

毎年薬価改定(中間年改定)は2016年末の4大臣合意で、価格乖離の大きな品目を対象に実施することが同意された。21年度から、毎年薬価改定が導入されたが、薬価研の研究報告によると、経緯として2020年12月9日などの中医協薬価専門部会の様子などを紹介している。一連の議論として、「薬価と実勢価格の乖離率がすべての既収載品目の平均乖離率よりも著しく大きい品目に限定すべき」と主張したことを説明。「診療側からも同様に」意見が述べられたと説明。「しかしながら」として、12月17日の3大臣合意で、平均乖離率8%の0.625倍(乖離率5%)を終える品目が対象となることが決定されたとしている。

12月9日の中医協薬価専門部会で、厚労省は「平均乖離率の2倍以上」、「1.5倍以上」、「1.2倍以上」、「1倍超」にわけ、医療費への影響について試算を示した。同日の会見で、田口小委員長は、「中間年改定での議論の際にも、事務局からの資料では、平均乖離率の1倍、2倍という資料が提出されていたが、我々としてはそれを睨みつつ、適切な議論をしていきたい」と述べた。

◎中医協の議事録に厚労省の見解 支払側「できる限り広く、かつ速やかに引き下げ」を主張

薬価研の研究報告書に記載はないが、厚労省のHPに公表された議事録によると、12月9日の中医協薬価専門部会で、支払側の幸野庄司委員は、「(平均乖離率の)何倍超は乖離率が大きいというのか、全然議論をされていないのですが、1倍超は乖離率が大きいというのはどこで議論されたのか」と指摘。これに対し、厚労省保険局医療課の井内努課長は、資料はあくまで機械的に当てはめたものであると説明し、「この範囲の中でというよりも、我々といたしましては、広く御議論いただくために今回資料を提供させていただいた」と述べ。資料をベースとした議論ではないことを明言している。

これを受けて、支払側の幸野委員は、「市場実勢価格に合わせた薬価をできる限り広く、かつ速やかに引き下げるというのが中間改定の基本的な方針だと思っている。できる限り広くという観点では、偏りのない、広範囲で新薬、長期収載品、後発医薬品それぞれが対象となるということがポイントになるが、今回出てきた案では全く偏っているということで、お話にならない改定ではないかと思っている」と話した。こうした中医協での議論も踏まえて、最終的に初年度となる毎年薬価改定の導入が決まったと言える。

◎21年度中間年改定「“医療の質の向上”を実現する観点から著しくバランスを欠いた決定」

研究報告では、21年度改定について、基本方針や骨太方針に「大きく逸脱したもの」、「“国民負担の軽減”と、“医療の質の向上”を実現する観点から著しくバランスを欠いた決定」と指摘した。

そのうえで、診療報酬改定のない年の改定範囲については、「その趣旨は薬価と市場実勢価格の乖離率が著しく大きい品目について薬価の補正を行うものと認識している」と説明。「対象が特許期間中の新薬や安定確保が必要な医薬品等を含めた広い範囲となれば、我が国における新薬開発や医薬品の安定供給に向けた取り組みに悪影響を及ぼし、結果的に国民医療の質の低下につながることが懸念されるため、対象範囲は極めて限定的にすべき」と主張した。

適用するルールについては、「市場実勢価格に基づき行うルールおよび実勢価改定と連動しその影響を補正するルールとして、基礎的医薬品、最低薬価、新薬創出等加算の加算、後発品等の価格帯を適用することが妥当」とした。市場実勢価格に連動しない、「長期収載品にかかわる追加的な引下げや市場拡大再算定、新薬創出等加算の累積額控除は当然適用すべきではない」とした。
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