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バイデン大統領 処方薬の負担軽減策など「インフレ抑制法案」に署名・成立 米国も物価高騰で薬価引下げ

バイデン大統領 処方薬の負担軽減策など「インフレ抑制法案」に署名・成立 米国も物価高騰で薬価引下げ バイデン米大統領は8月16日、気候変動対策や処方薬の負担軽減策などを盛り込んだ「インフレ抑制法案(IRA)」に署名し、成立させた。予算規模は4300億ドル(約57兆円)。同法の目玉となる処方薬のコスト削減では、メディケアパートDを利用する5000万人の高齢者を対象に薬局で購入する処方薬の費用上限を年間2000ドルに制限した。さらに処方薬の適用範囲を改善し、メディケアの薬価を引き下げることで、患者の医薬品へのアクセスギャップを埋める狙いを込めた。これに対し米国研究製薬工業協会(PhRMA)がすかさず反応。Stephen J. Ubl社長兼CEOは、「根本的な課題解決にはならない」との声明を発表し、「革新的な治療へのアクセスをいまよりも強化するような方法を引き続き確立していく」との見解を表明した。

◎「今後数年間で1300万人が健康保険で年平均800ドルを節約し続ける」バイデン大統領

「メディケアに加入している場合、処方箋の数に関係なく、がんであろうと他の病気であろうと、年間2000ドル以上支払う必要はありません。今後数年間で1300万人が健康保険で年平均800ドルを節約し続けます」-。バイデン大統領は「インフレ抑制法案(IRA)」への署名に際し、こうスピーチした。

世界的な物価高やエネルギー価格の高騰、さらには地球規模の気候変動により、社会経済環境は日々刻々と変化している。特に米国においては物価高騰を懸念する声が国民から高まっており、今年11月に中間選挙を控えるバイデン大統領と与党・民主党にとって、一般消費財を含む税制優遇やヘルスケア費用の軽減など対応が迫られている。

◎薬局で処方薬に支払う金額を年間2000ドルに上限設定

今回成立したインフレ抑制法は、メディケア受給者の中でも、特にラテン系アメリカ人に主眼が置かれている。この日公表されたホワイトハウスのファクトシートでは、65 歳以上のメディケア受給者のうち、医薬品を購入できない可能性のあるラテン系受給者は白人受給者の約1.5倍に及ぶことが指摘された。加えて、医薬品が高価なため必要な処方箋を満たさない可能性のあるラテン系受給者は白人受給者の約2倍と報告している。さらに、ラテン系以外のアメリカ人は、ラテン系アメリカ人より帯状疱疹ワクチンを接種する可能性が2倍以上高いことも問題視した。

こうした状況からインフレ抑制法では、高齢者が薬局で購入する処方薬に支払う金額を年間2000ドルに上限設定した。これにより毎年約140万人の受益者が直接恩恵を受ける。また、糖尿病を治療する高齢者330万人がインスリンに支払う金額を1か月あたり35ドルに制限した。さらに、メディケア受益者に帯状疱疹ワクチンを含む多数の無料ワクチンへのアクセスも可能とする方針も明示した。一方で、高価な医薬品の価格についてメディケアが製薬企業と交渉できるようにした。具体的には、製薬会社がインフレよりも早く価格を引き上げた場合にメディケアにリベートを支払うよう要求することで、高齢者の処方薬のコストをさらに引き下げる考えも明示した。

◎PhRMA 患者アクセスに強い警戒感「アクセスをより強化する方法を確立したい」

こうしたバイデン政権の方針に対し、野党・共和党からは実効性を疑問視する声が聞かれている。PhRMAも即座に反応し、「(メディケア受給者の処方薬価格を)値ごろ感のある価格にするということだけで根本的な課題解決にはならない」との認識を表明。Stephen J. Ubl社長兼CEOは、革新的な治療(生命を救う治療)への患者アクセスに強い警戒感を示し、PhRMAとして(革新的新薬への)アクセスをいまよりも強化するような方法を確立していく考えを強調した。
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