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厚労省 新薬11製品を承認 尿路上皮がん治療薬パドセブ、アトピー適応のPDE4阻害薬モイゼルトなど

厚生労働省は9月27日、新有効成分含有医薬品11製品を承認した。がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がんに使用する抗体薬物複合体(ADC)で、優先審査の対象になったパドセブ点滴静注用(一般名:エンホルツマブ ベドチン、アステラス製薬)や、PDE4阻害薬として初のアトピー性皮膚炎治療薬となったモイゼルト軟膏(ジファミラスト、大塚製薬)が含まれる。 一方で、FXa阻害薬の抗凝固作用を中和するための治療薬・オンデキサ静注用200mg(アンデキサネット アルファ(遺伝子組換え、アレクシオンファーマ)は今回、承認されなかった。 厚労省によると、同剤は8月30日の薬食審・医薬品第一部会で承認が了承されたものの、その後、申請企業のアレクシオンファーマから「臨床試験の一部データの取り扱いが不適切だった可能性がある」との報告があり、PMDAで事実関係を確認中となった。同剤は現在、承認が留保されている状況で、改めて同部会で該当データなどが確認された後、正式承認の手続きに進む。 承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類別に記載。 ▽ビンマックカプセル61mg(タファミジス、ファイザー):「トランスサイレチン型心アミロイドーシス(野生型及び変異型)」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間はビンダケルカプセル20mgのATTR-CMに対する残余(2029年3月25日まで)。薬効分類129。 1日1回1カプセルの経口投与で用いる。既承認のトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)治療薬ビンダケルカプセル(一般名:タファミジスメグルミン)は1日1回4カプセル服用する必要がある。患者の負担経験の観点から、1カプセルの服用で済むビンマックが開発された。 ▽モイゼルト軟膏0.3%、同1%(ジファミラスト、大塚製薬):「アトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類269。 ホスホジエステラーゼIV(PDE4)阻害薬。PDE4阻害薬として初のアトピー性皮膚炎の適応を持つ薬剤となった。成人、小児ともに1日2回、適量を患部に塗布して用いる。 PDE4は免疫細胞に広く分布しており、アトピー性皮膚炎患者の末梢白血球ではPDE活性が亢進し、細胞内cAMP濃度が減少していることが報告されていることから、PDE4はアトピー性皮膚炎などの慢性炎症性疾患の病態に関与すると考えられている。同剤によりPDE4を阻害することで、細胞の炎症反応を抑制し、アトピー性皮膚炎に対し効果を発揮すると考えられる。 ▽メグルダーゼ静注用1000(グルカルピダーゼ(遺伝子組み換え)、大原薬品):「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類392。 メトトレキサート(MTX) のカルボキシ末端のグルタミン酸残基を加水分解する遺伝子組換えタンパクであり、MTXを加水分解することにより、血中の MTX 濃度を低下させると考えられている。 MTX・ロイコボリン(LV)救援療法の適応となる疾患((1)急性リンパ芽球性白血病(2)骨肉腫などの肉腫(3)マントル細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫などの悪性リンパ腫(4)髄芽腫などの脳腫瘍―など)のうち、MTX排泄遅延が認められた患者が投与対象となる。 ▽ネクスビアザイム点滴静注用100mg(アバルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組み換え)、サノフィ):「ポンペ病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類395。 酵素補充療法製剤。ポンペ病がもたらす重大な症状である呼吸機能、筋力・身体機能の低下を阻止することが期待されている。ポンペ病は、ライソゾーム酵素のひとつである酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝子の欠損または活性低下が原因で生じ、複合多糖(グリコーゲン)が全身の筋肉内に蓄積することで生じる疾患。 ▽サフネロー点滴静注300mg(アニフロルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類399。 I型インターフェロン(IFN)α受容体のサブユニット1に結合するヒトIgG1κモノクローナル抗体で、Ⅰ型IFNシグナル伝達を阻害する。全身性エリテマトーデス(SLE)患者の大部分ではⅠ型IFNシグナル伝達が制御されず、Ⅰ型IFN誘導遺伝子発現(IFNGS)の亢進が認められ、その亢進はSLEの疾患活動性及び重症度と相関するとされている。 ▽タブネオスカプセル10mg(アバコパン、キッセイ薬品):「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。 経口投与可能な低分子の選択的補体C5a受容体拮抗薬であり、C5aの作用を阻害する。補体カスケードを標的とした初の顕微鏡的多発血管炎(MPA)及び多発血管炎性肉芽腫症(GPA)治療薬となる。 ▽レットヴィモカプセル40mg、同80mg(セルペルカチニブ、日本イーライリリー):「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類429。 初のRETキナーゼ阻害薬。RET融合遺伝子又はRET遺伝子変異は、RETを介したシグナル伝達経路を亢進させることにより、腫瘍の生存や増殖に大きく寄与することが報告されている。同剤はRETのキナーゼ活性を阻害し、RETを介したシグナル伝達を阻害することで腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。 RET融合遺伝子陽性NSCLCの患者数は約4390人と推測されている。同剤はコンパニオン診断薬を使用して用いる。 ▽ライアットMIBG-I131静注(3-ヨードベンジルグアニジン(131I)、富士フイルム富山化学):「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。薬効429。 副腎髄質ホルモンのノルアドレナリン(NA)に類似した構造を有する 3-ヨードベンジルグアニジン(MIBG)のヨウ素原子を放射性同位体(131I)に置換した 131I-MIBG を有効成分とする放射性医薬品。主にNAトランスポーターを介した再摂取機構(uptake-1)により腫瘍細胞内に取り込まれ、131I から放出されるβ線により細胞を傷害し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。 ▽パドセブ点滴静注30mg(エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組み換え)、アステラス製薬):「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。優先審査品目。薬効分類4291。 ADCであり、ネクチン-4 に対する IgG1サブクラスのヒト型モノクローナル抗体と微小管重合阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンE(MMAE)が、リンカーを介して共有結合している。腫瘍細胞の細胞膜上に発現するネクチン-4 に結合し、細胞内に取り込まれた後にプロテアーゼによりリンカーが加水分解され、遊離した MMAE がアポトーシスを誘導することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。 用法・用量は「通常、成人には1回1.25mg/kg(体重)を30 分以上かけて点滴静注し、週1回投与を3週連続し、4週目は休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。ただし、1回量として125 mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する」。 なお、1次治療における有効性及び安全性は確立していない。 ▽サイバインコ錠50mg、同錠100mg、同錠200mg(アブロシチニブ、ファイザー):「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類449。 ヤヌスキナーゼ(JAK)ファミリー(JAK1、JAK2、JAK3及びTyk2)のうち、主にJAK1を阻害する低分子化合物。アトピー性皮膚炎(AD)の適応を持つ経口JAK阻害薬としては、オルミエント錠(バリシチニブ)、リンヴォック錠(ウパダシチニブ水和物)に続く3剤目だが、12 歳以上の小児適応を有するのは、リンヴォックに続き2剤目。 AD適応に関して、サイバインコの用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には、100mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて200 mgを1日1回経口投与することができる」。 対して、リンヴォックの用法・用量は「通常、成人には15mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて30mgを1日1回投与することができる。通常、12歳以上かつ体重30kg以上の小児には15mgを1日1回経口投与する」となっている。 ▽ステルイズ水性懸濁筋注60万単位シリンジ、同240万単位シリンジ(ベンジルペニシリンベンザチン水和物、ファイザー):「梅毒(神経梅毒を除く)」を効能・効果とする新投与経路医薬品。適応菌種は梅毒トレポネーマ。再審査期間はなし。未承認薬・適応外薬検討会議開発要請品目。薬効分類6111。 ペニシリン製剤。細菌細胞壁のペプチドグリカンの合成を阻害することで抗菌活性を示すと考えられている。有効成分のベンジルペニシリンベンザチン水和物は溶解性が低く、投与部位から緩徐に放出される特徴から、同剤は1回の筋肉内投与で有効濃度が持続する。このため成人及び13歳以上の小児の早期梅毒に対しては、ベンジルペニシリンとして240万単位を単回、筋肉内注射して用いる。 日本感染症教育研究会から同剤の筋注製剤の成人及び小児における梅毒(神経梅毒を除く)に対する使用について開発要望が提出され、厚労省の未承認薬・適応外薬検討会議の評価を経て、開発要請がなされた。

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厚労省 特例承認の新型コロナ治療薬ゼビュディ、「当面は入院での使用を考えている」

厚生労働省は9月27日、グラクソ・スミスクライン(GSK)の新型コロナウイルス感染症治療薬「ゼビュディ」を特例承認した。同日開かれた薬食審医薬品第二部会で了承後、即日特例承認された。効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症」で、「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者(軽症~中等症Ⅰ)」が投与対象となる。軽症患者が対象に含まれる新型コロナ治療薬が特例承認されたのは抗体カクテル療法・ロナプリーブに続き2剤目。臨床的な位置付けは、ロナプリーブと同様だが、1成分の投与であることから利便性があり、新たな治療選択肢として期待されている。 ◎「今後の変異株の発現を考えると、治療選択肢を広げることは意義が大きい」 特例承認されたのは、「ゼビュディ点滴静注液500mg」(一般名:ソトロビマブ(遺伝子組換え))。ウイルスの表面に存在するスパイクタンパク質(Sタンパク質)に対するモノクローナル抗体であり、Sタンパク質と宿主細胞表面の酵素との結合を阻害(中和)することにより宿主細胞への侵入を阻害することで効果を発揮する。 類薬であるロナプリーブ(カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え))は、2種類の中和抗体を組み合わせることにより、変異株にも効果を持つことが期待されているが、ゼビュディは、ウイルスの保存性の高い領域(変異が起きにくい領域)に結合することにより変異株にも効果を持つことが期待されている。厚労省は部会後の会見で、「現時点で得られている情報から変異株に対する効果に大きな差はないだろう。今後の変異株の発現を考えると、治療選択肢を広げることは意義が大きい」とした。 同剤は、単回投与の点滴静注製剤であり、用法・用量は、「通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、ソトロビマブ(遺伝子組換え)として500mgを単回点滴静注する」。添付文書の用法・用量に関連する注意には、「症状が発現してから速やかに投与すること。症状発現から1週間程度までを目安に投与することが望ましい」と明記した。 臨床試験における主な投与経験を踏まえ、投与対象患者について、添付文書の効能・効果に関連する注意に「重症化リスク因子を有し、酸素投与を要しない患者」と明記した。厚労省は「当面は入院での使用を考えている。ただ、臨床的な位置付けなどはロナプリーブとほぼ同様なので、今後の使用実績を踏まえて速やかに広げられるように対応していきたい」と述べた。 なお、ロナプリーブについては、既に24時間以内の患者の病態の悪化の有無を確認できる体制の確保等を厚労省でも確認した上で、患者宅(高齢者施設等を含む)での往診使用が可能になっている。 ◎供給希望の医療機関 GSK開設の登録センターに登録必要 承認申請のもとになった海外第2/3相臨床試験(COMET-ICE試験)では、重症化リスク因子として、▽55歳以上▽薬物治療を要する糖尿病▽肥満(BMI 30kg/m2超)▽慢性腎障害(eGFRが60mL/分/1.73m2未満)▽うっ血性心不全(NYHA心機能分類クラスⅡ以上)▽慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患又は労作時の呼吸困難を伴う肺気腫)▽中等症から重症の喘息(症状コントロールのために吸入ステロイドを要する又は組入れ前1年以内に経口ステロイドが処方されている者)――のうち、少なくとも1つ有する患者が選択基準となった。 ゼビュディの確保状況について厚労省は、「相手企業との間で秘密保持契約もあり、回答は差し控えたい。必要な予算を確保して適切に対応したい」と述べた。また、医療機関への配分に関しては、「ロナプリーブと考え方が似ている。厚労省が所有してGSKに委託して供給する。供給を希望する医療機関はGSKが開設する登録センターに登録してもらう」とした。 ゼビュディは9月6日に申請された。COMET-ICE試験は、重症化リスク因子を有し、酸素飽和度 94%(室内気)以上の患者を対象とした。入院又は死亡に至った被験者の割合は、中間解析では、本剤群(291例)で1%であり、プラセボ群(292 例)の7%と比較して 85%有意に減少させた(p=0.002)。また最終解析では、本剤群(528例)で1%であり、プラセボ群(529例)の6%と比較して79%有意に減少させた(p<0.001)。 ゼビュディは、GSKと米Vir Biotechnologyが共同で研究開発。GSKによると、米国で緊急使用許可を、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)からはRegulation 726/2004のArticle 5(3)に基づき肯定的な科学的見解を得ている。また、カナダ、イタリア、アラブ首長国連邦、シンガポール等では一時的承認、オーストラリアでは承認を取得している。

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がん遺伝子パネル検査情報、利活用へ検索ポータル運用  国がんが10月4日から、製薬企業の研究開発など想定

 国立がん研究センターのがんゲノム情報管理センター(C-CAT)は10月4日から、がんゲノム医療で行われたがん遺伝子パネル検査の情報を製薬企業などが研究・開発に利活用できるように、「利活用検索ポータル...

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 がん検査キット販路拡大を加速 鶴岡のベンチャー、山形銀系商社と提携

唾液を使ってがんリスクを検査するキットを開発したバイオベンチャー企業のサリバテック(山形県鶴岡市)が、地元の地域商社と連携し販路拡大に力を入れている。企業側の健康経営への関心の高まりが追い風になっており、複数の企業による集団検査でも活用された。将来的に東北、全国への本格進出も見据える。  検査キットを使うと、採取した唾液0.1ccに含まれる250種類の代謝物質の濃度を分析できる。がん罹患(りかん)時に異常値を示す物質の濃度を人工知能(AI)で解析し、肺がん、大腸がんなど5種のがん(女性は乳がんを含む6種)の罹患リスクを調べる。受検者は、全国約350カ所の提携医療機関で検査結果について相談することも可能だ。  同社は2013年、慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)の研究成果の事業化を目的に設立された。同社によると、検査キットは全国約1400の医療機関で使われているが、個別検査が主で認知度不足が課題だったという。  課題を克服しようと今年4月、山形県がん対策推進計画に参画する山形銀行が全額出資し設立した地域商社「TRYパートナーズ」(山形市)と業務提携。同行の支店網を活用し取引先企業への周知を進めた。提携後、キットを使う検査を導入した県内企業は約110社に上る。  今月16日には、山形流通団地(山形市)であった複数企業の従業員向けの集団検査で初めて検査キットが活用され、立地する13企業・団体の約80人が受検した。サリバテックは「新型コロナウイルス感染への懸念から医療機関での受診を控える傾向がある。簡便な検査として企業の福利厚生事業で広く取り入れてもらえる」と期待する。  当面は山形県内で普及を目指し、将来は山形銀の県外支店網を生かして仙台圏や東北各県などにも拡大したい考え。TRYパートナーズのチーフマネジャー石山洋さん(38)は「企業を持続させるための健康経営の観点からも伸びしろがある。山形で構築したモデルを商圏の大きい仙台などにも広げたい」と語った。

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厚労省・紀平薬剤管理官 薬剤師は「国民の健康な生活支える」存在として価値発揮を アウトカム評価にも言及

厚生労働省保険局医療課の紀平哲也薬剤管理官は9月26日、薬局団体連絡協議会主催のシンポジウムで講演し、薬剤師が「国民の健康な生活を支える」存在として地域で価値を認められることが重要だと強調した。調剤報酬については、「アウトカムとして患者さんがどうだったかを皆が知りたがっている。薬剤師の価値を見せていくための一つ大事なことだ」との考えを表明。「(対人業務の評価である)薬学管理料が算定された結果、薬物療法の質をあげていくこと自体ができていますか、ということが薬剤師に問われていることだ」と語った。 ◎地域包括ケアシステムのなかで「求められる薬剤師の役割を考え直す」 求められる質 超高齢社会に突入し、患者の大半が高齢者になるなかで、「現役世代の病気を治していくのがメーンだった時代から、高齢者を支える医療が医療の中心になっていく」と述べた。こうしたなかで、地域包括ケアシステムの構築を急ぐなかで、薬剤師の担う役割も、「ここ十数年医薬分業の推進で薬剤師が担ってきた役割とはおそらく違うところにある。いま求められている薬剤師の役割を考え直す時期にある」と述べ、現状の延長線にない、薬剤師の“再定義”の必要性を指摘した。 医薬分業の流れのなかで、処方箋枚数獲得に重きが置かれ、薬局の店舗数も増加をたどってきたが、一薬局当たりの処方箋枚数が頭打ちになっているとのデータも示しながら、「薬局の数を増やすという時代ではなく、質が求められている状況になっているということが数字から見て取れる」と強調した。 ◎地域連携薬局など認定制度スタートで「薬局の差別化を考える時期に来た」 薬局機能については調剤報酬上で、「薬局経営の効率性」と「一定の機能を有する薬局」の2軸により調剤基本料で評価されていると説明した。効率性については、処方箋集中率と処方箋回数、一定の機能を有する薬局の評価として地域支援体制加算をあげた。 そのうえで、改正薬機法の施行を受け、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局など、特定の機能を有する薬局の認定制度がスタートしたことを説明。「こういったものを調剤報酬でどう受け止めていくかがこれからの課題。薬局として考えれば、調剤報酬に加え認定薬局という役割が明示されたことをもあり、今後目指す方向性としては薬局の差別化、それぞれの薬局がどういう薬局であるべきか考える時期に来た」との考えを示した。さらに、「具体的には個々の薬局がそれぞれの立地やターゲットとした住民、患者をメーンターゲットとし、その方たちにどのような価値を提供していくのかを改めて考える時期に来た」と続けた。 ◎変えなければいけないのは「薬剤師の意識」 一方、薬剤師については、薬剤師法第1条を引き合いに、「国民の健康な生活を確保」することが目的だと説明。調剤は目的ではなく手段との考えを示し、「調剤は手段で、調剤をした結果としてどういうメリットを提供できるのか。ここを一番考えないといけない」と強調した。 厚労省は、患者のための薬局ビジョンや調剤報酬改定で“対物業務”から“対人業務へ”の流れを強く推し進めているが、「ここで変えないといけないのは薬剤師の仕事の中身ではなく薬剤師の意識ではないか」と述べた。服薬指導についても添付文書の情報をただ機械的に伝えるのでは、「対人業務とは決して言えない。対物業務の延長ではないか」と指摘した。一方で、調剤業務について、「お薬を調整する段階でも単に袋詰めするのではなく、患者さんの状態を確認し、それぞれの患者さんに応じた調整の仕方が求められているとしたときに、調剤という業務自体は対物業務ではなく、個々の患者さんに応じた対人業務という見方もできるのではないか」と述べた。 改正薬機法では、患者の服用後のフォローアップが義務化された。紀平薬剤管理官は後発品の供給不安について触れ、「結局大事なのは渡したあと。いままでの薬と変えてどうなりましたか、というのをフォローされているのか、と素朴に思う。これまでと違うものを渡されて患者さん不安に思うかもしれないというときに、そこで一声かけられるかどうかで、薬局に対する信頼度、大事さが患者さんに伝わるかどうかというところも一つあるのでは」と述べた。さらに、「薬を渡すという行為は決して処方箋に従って渡すということが仕事だというモノではなく、患者さんが口にするものを渡すということはその責任を薬剤師が持つということ。渡した後、きちんと薬物治療がされてどうなっているかということを支えていくというのが薬剤師の責任として行うべきものではないか」と続けた。 オンライン資格確認や電子処方箋の導入で、患者情報を把握する環境が整うなかで、服薬情報の一元的に把握するだけでなく、「情報をもとに薬学的管理や指導を行う集められた情報を読み解くのが薬剤師の価値だ」とも述べた。 ◎調剤報酬 「皆が求めるのは、アウトカム評価だ」 そのうえで、調剤報酬については、「患者さんが抱えている問題に対して、薬剤師が行動して患者さんに価値を提供する。与えられるのが報酬だ。これが報酬の基本的な考え方だ」と説明した。評価軸としては、ストラクチャー指標、プロセス指標、アウトプット指標、アウトカム指標があるが、「最終的に皆が求めたいのは、アウトカム。その結果、患者さんがどうなりました?という話がなかなか聞けない。薬剤師の評価としてこれから求められるところだ」と述べた。「薬剤師の行動がプロセス指標やアウトプット指標で評価される時に、アウトカムとして患者さんがどうだったかを皆が知りたがっている。薬剤師の価値を見せていくための一つ大事なことだ」と強調した。 さらに、「使命に基づいて行動し、その結果が報酬につながる。いまの現場の実態として報酬を得るために何かの行動をする、それは使命につながっているかということが外から問われている」とも指摘した。こうした評価は調剤医療費を負担する保険者や国から理解を得る必要があるとの考えも示した。 紀平薬剤管理官は、薬局が価値を発揮するためには、薬剤師をいかに活用できるか、が重要だと指摘。「国から言われているからといって現場に押し付けているだけでは現場はまわらない。必要な人員や設備を整備する必要がある。薬局だけで完結するのではなく、地域との関係の中で価値を認めてもらうことが大事だ」と述べた。 機械化やOTC・セルフメディケーション、オンライン服薬指導や電子処方箋など、取り巻く環境が変化をしている。紀平薬剤管理官は、「こういったものは薬剤師や薬局の本質的な部分に影響するものだろうか。手段というかツールでしかない」と指摘。「薬剤師・薬局の仕事は、国民の健康な生活を確保することだ。住民の生活を支えるのが薬剤師の役割だ。そのためには、こういったツールをどう使っていくのか、考えるべきだ」と強調した。

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