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武田薬品・中村GISBUヘッド 再生医療等製品「アロフィセル注」などグローバル3製品軸に日本市場展開

武田薬品の再生医療等製品「アロフィセル注」が11月25日、薬価収載された。同社GIスペシャルティBU(GISBU)の中村浩己ヘッドは同日、本誌インタビューに応じ、潰瘍性大腸炎治療薬エンタイビオ、短腸症候群治療薬レベスティブに次いで発売する「アロフィセル注」の3製品を軸に、「患者のアンメッドニーズの高いところで、イノベーションを起こしていきたい」と意気込んだ。3製品はいずれもグローバル戦略品の位置づけ。中村ヘッドは、「海外で先行発売していることもあり、そこで得られた知見やナレッジ、成功・失敗も含めて日本の戦略に活かしたい」と強調した。 ◎完全受注生産のアロフィセル注 大阪工場で生産完了後72時間以内に直送 アロフィセル注(ダルバドストロセル)は、同社として国内初の再生医療等製品で、医療機関から発注を受けた後に大阪工場で受注生産する。生産完了後72時間以内に医療機関に直送し、患者に投与する。中村ヘッドは、最初の1例目について、「12月終わりか1月初旬に行われる手術」に向けて準備したいと明かしてくれた。3製品の情報提供には、BU所属の200人を下回る規模のMRと、医師・患者双方に向けたWebメディアを活用する。中村ヘッドは、「効率的かつ必要な時に必要な情報が届く仕組み」を構築するとした。 アロフィセル注は、クローン病に伴う複雑痔瘻の患者を対象とし、炎症部位において、リンパ球の増殖阻害や制御性T細胞の増殖誘導で炎症反応を抑制し、瘻孔周囲の組織を治癒させる。適応患者数は日本で1600例~1700例程度。診療科は消化器外科、肛門外科、消化器内科などに跨っているほか、肛門病変合併症の頻度が高率であることも分かっている。 中村ヘッドは、「クローン病に伴う肛門病変は、日本や東アジアで多い。クローン病の患者の中で肛門病変が非常に大きな問題になっている」と指摘。加えて、「この肛門病変が初発で見つかるケースも多い。かつ再発を繰り返す」と病態の特徴を述べ、患者のQOLを著しく低下させるなど、負担が大きいことを強調した。その上で、アロフィセル注については、「炎症部位に注入する。これにより局所で火が燃え盛っているような炎症を鎮め、瘻管が閉じるのをサポートする」と述べ、患者のQOL改善に大きく寄与すると期待感を込めた。 ◎全国配送や温度管理などのテストランを終了 医師向け講習会約30人が修了 一方でアロフィセル注は、製品としての有効期間が72時間と短いため、手術を行う医療機関からの完全受注生産が求められる。中村ヘッドは、「スペイン・マドリッドで生産したセミファイナル・プロダクトを大阪工場で最終調整して医療機関に出荷する」と説明。すでに全国配送や温度管理などのテストランを終えていることも明らかにした。また受発注システムも用意しており、武田本社、大阪工場、医薬品卸、医療機関の全員が「どのステージにあるかを確認できるようにした」と述べ、医療機関からの受注準備に万全を期す考えを強調した。 アロフィセル注を使用できる医師は、同社講習会を受講・修了した医師に限定されるとし、「すでに2回の講習会を実施し、約30人の医師が参加した。年度内にもう2回の講習会を予定している」と述べ、初期段階で全国40施設程度の実施を見込み、「少しづつ増えていくことになると思う」と述べた。 ◎MRが東アジア地域(中国、韓国、台湾)との会議やワークショップに参加 GISBUが注力する3製品の情報提供について中村ヘッドは、「グローバルと密な連携を通じ、常に情報をアップデートし、MRの情報提供活動に展開する」と強調した。BUが扱う3製品はいずれも海外先行のグローバル戦略品に位置づけられる。中村ヘッドはグローバル感覚を養う試みとして、東アジア地域(中国、韓国、台湾)との会議やワークショップにMRを参加させ、各国のMRとのディスカッションを経験させていることを明らかにした。 会議は英語で行われ、日本から1会議あたり3~5人のMRが参加しているという。日本から参加するMRは手上げ制で公募し、国内予選を勝ち抜いた選抜MRには、プレゼンやディスカッションに関する英語研修が事前に行われる。すでに、東アジア各国との会議やワークショップは5回程度開催されており、その度ごとに、各国のMR同士が行うディスカッションに日本から参加するMRも積極的に発言していると中村ヘッドは明かしてくれた。 このほかグローバルとの連携では、本部主催で各国のKOLが参加するWeb会議やラウンドテーブルなども行われており、日本の医師と海外の専門医とのディスカッションなどのサポートも行っており、中村ヘッドは「国際的な連携も引き続き行っていきたい」と強調した。

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諮問会議で鈴木財務相 22年度改定は「“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」

鈴木俊一財務相は11月25日の経済財政諮問会議(議長:岸田文雄首相)で、2022年度診療報酬改定について、「新型コロナ感染拡大後、初の診療報酬である以上、この経験を踏まえて、“医療提供体制改革なくして診療報酬改定なし”の姿勢で臨む」と述べた。この日の諮問会議で、岸田首相は、「メリハリのある診療報酬改定」の実現で、社会保障の質向上と国民負担軽減の実現を明言。岸田政権が“成長と分配”の好循環を掲げるなかで、現役世代の可処分所得拡大が重視される。このためには、保険料率の増額を抑制することは不可欠との声が諮問会議では相次いだ。 「来年から団塊の世代が75歳以上となる中、メリハリのある診療報酬改定や効率的な医療提供体制の整備など、着実に改革を進め、社会保障の質の向上と国民負担の軽減を目指してまいります。また、成長と分配の好循環を実現するためにも、持続可能な全世代型社会保障の構築を通じて、将来の安心の確保と消費の拡大につなげる」-。岸田首相は、この日の諮問会議でこう述べた。この日の諮問会議でも、団塊世代が後期高齢者世代に入り始める2022年度を見据え、社会保障制度改革の必要性や、デジタル活用による新たな市場創出など成長力強化が議論の俎上にのぼった。 ◎後藤厚労相 一般病院(医療法人)の損益率は他のサービス業や中小企業より低率 後藤厚労相は諮問会議に、医療経済実態調査の結果を報告。一般病院(医療法人)の損益率は0.1%の黒字(コロナ補助金を含むと2.3%の黒字)。ただ、「一般病院(医療法人)の損益率は他のサービス業や中小企業よりも低くコロナ補助金を含めても4割超は赤字」と説明した。また、一般病院全体では、6.9%の赤字で、コロナ補助金を含むと0.4%の黒字となった。診療報酬上の特例もあり、足元の医療費は、新型コロナ前の水準に回復しつつあるが、受診患者数は回復していないとした。医療業の賃金は、2020年度にはほぼ横ばい、21年度は上昇傾向。ただ、20年度に低下していた物価動向は、21年度にはエネルギー価格や円安などで、上昇が見込まれるとした。 鈴木財務相は、「成長と分配の好循環を実現し、現役世代の可処分所得を拡大させるためには、保険料負担の増額を抑制することが重要だ。このため、薬価改定において薬剤費の適正化を進め、診療報酬本体の改定について入院・外来の機能分化を含め、メリハリのある見直しを行うことが適切だ」と主張した。諮問会議の民間議員も、「いまの診療報酬の仕組みは、分配が一部の病院、クリニックに偏り、現役世代の負担は大きい」と指摘した。 年末の予算編成に向けて、2022年度診療報酬改定の議論が本格化するなかで、分配のあり方も焦点の一つとなりそうだ。 ◎民間議員 かかりつけ医機能の制度化を提案 オンライン診療など包括的に提供 諮問会議の民間議員は、2022年度診療報酬改定を通じた医療提供体制強化の必要性を強調し、「保険料率の伸びを抑制することで、可処分所得をより拡大していくためにも、診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき」と主張した。 具体的には、かかりつけ医機能について国民の理解を深めつつ制度化し、診療報酬上のかかりつけ医への加算評価を新設することを提案した。かかりつけ医がコロナ対応やオンライン診療などを包括的に提供するとした。診療報酬上のオンライン診療料を見直し、対面診療の点数である特定疾患管理料などとの格差是正を行い、オンライン診療の対象機関を拡大することも提言した。 ◎「一入院当たりの包括払い」導入で包括払いの対象範囲を拡大 在院日数短縮へ  また、新型コロナ対応で、病院や病床数が多く医師や看護師が薄く分散している課題も見えた。民間議員は、現行の急性期病床の強化・集約化が必要とし、「病床の効率的な活用や医療従事者の適正な配置が不可欠」とした。また、「一入院当たりの包括払い」の導入とともに、包括払いの対象範囲を拡大し、平均在院日数の短縮を促すべきとした。また、残薬抑制の観点から、「かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方を導入すべき」と主張。国民の約8割がリフィル処方に肯定的とのデータも示した。 ◎薬価改定 「調剤幅」について検証を 費用対効果も踏まえた算定基準の見直しの検討も 薬価改定については、「新薬創出を後押しする一方、長期収載品等の医薬品についての評価適正化、後発品の更なる使用促進を行う観点から、費用対効果も踏まえた算定基準の見直しを検討すべき」と主張した。「市場実勢価格に上乗せされる調整幅についての検証する」ことや、「市場実勢価格にあわせた薬価改定分は国民に還元すべき」ともしている。 ◎「予防・重症化予防・健康づくりサービスの産業化」の必要性も言及 一方で、医療・介護を将来性のある市場にも位置づけ、「予防・重症化予防・健康づくりサービスの産業化」の必要性も言及。保険者による包括的な民間委託の活用や新たな血液検査などの新技術の活用などについてアウトカムを掲げて推進すべき」とした。岸田首相も、「今後も需要増が見込まれる医療や介護分野については、ロボットや見守りセンサーを始め、デジタル技術を積極的に活用することで、人手不足の解消と供給力の向上を同時に実現する。そうすれば、働く方々の収入も上がり、需要と供給が共に増加する成長産業にもなっていく」と述べた。

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厚労省 9製品の効能追加など承認 オプジーボに胃がん1次治療、ジャディアンスに心不全追加

厚生労働省は11月25日、9製品の効能追加などを承認した。抗がん剤ハーセプチンに唾液腺がんが追加されたほか、がん免疫療法薬オプジーボに胃がん1次治療と食道がんの術後補助療法が、同じくがん免疫療法薬キイトルーダには食道がん1次治療が追加された。2型糖尿病治療薬ジャディアンスは慢性心不全に適応が広がった。 効能追加などが承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。 ▽ハーセプチン注射用60、同注射用150(トラスツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。 国内のHER2陽性の唾液腺がんの患者数は約460人と推測されている。21年7月時点において、唾液腺がんに係る効能・効果で承認されている国または地域はない。 ▽ハイヤスタ錠10mg(ツシジノスタット、Huya Japan):「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は10年。希少疾病用医薬品。 HDAC阻害作用を有する低分子化合物。21年6月に「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」の効能で承認を取得し、10月に発売されており、それに続く効能追加となる。 ▽ロイコボリン錠5mg(ホリナートカルシウム、ファイザー):「葉酸代謝拮抗剤の毒性軽減」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間なし。 対象疾患は再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)で、今回、プララトレキサート(PDX)投与時の場合の用法・用量を追加した。 ▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(2022年10月18日まで)。 従来の食道がんに関する効能・効果は「がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん」だったが、今回、「根治切除不能な進行・再発の食道がん」となる。化学療法(フルオロウラシル及びシスプラチン)との併用で、1次治療で、食道がん(扁平上皮がん、腺がん)に使用できるようになった。PD-L1陽性の縛りは外れる。 なお、がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がんに対しては、単独投与することもできる。 ▽5-FU注250mg、同注1000mg(フルオロウラシル、協和キリン):「食道がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。公知申請。キイトルーダの食道がん1次治療と併用するための効能追加。 ▽オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg、同点滴静注240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):(1)「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品、(2)「食道がんにおける術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。 既に胃がん3次治療(単剤療法)で承認されているが、化学療法との併用で、1次治療で使用できるようになった。 食道がんに対して単剤療法での2次治療が承認されているが、今回、食道がん術後補助療法の効能追加が追加された。 ▽ローブレナ錠25mg、同錠100mg(ロルラチニブ、ファイザー):「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新効能医薬品。再審査期間は残余(2026年9月20日まで)。 これまでの「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」から、「ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容の」の部分を削除し、1次治療で使用できるようになった。 ▽サークリサ点滴静注100mg、同点滴静注500mg(イサツキシマブ(遺伝子組換え)、サノフィ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(2028年6月30日)。 これまで「ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用」のみだったが、(1)カルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとの3剤併用、(2)デキサメタゾンとの2剤併用、(3)単剤療法―の3つの用法が追加された。 ▽ジャディアンス錠10mg(エンパグリフロジン、日本ベーリンガーインゲルハイム):「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は4年。 左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)に対する治療選択肢。添付文書の「効能又は効果に関連する注意」で、「左室駆出率の保たれた慢性心不全における本薬の有効性及び安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること」を記載された。 これまでの効能・効果は2型糖尿病だった。心不全進展抑制に関与する作用機序は明らかではないが、体液量調節を介した血行動態に対する作用等(浸透圧利尿等による前負荷軽減等)、血糖降下作用とは別の作用機序で心不全の改善に寄与する可能性が指摘されている。日本ベーリンガーインゲルハイムと日本イーライリリーがグローバルレベルで提携している。

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院内がん登録数 前年比4.6%減で初の減少に コロナ禍の検診・受診控えの影響も

国立がん研究センターは11月26日、2020年に新規にがんの診断や治療を受けた人(以下、登録数)が07年の集計開始以来、初めて減少したと発表した。がん診療連携拠点病院を含む院内がん登録実施病院863施設のうち前年と比較可能な831施設をみると、20年の登録数は前年比4.6%減、約6万件の減少となった。早期がんで減少幅が大きい傾向もみられた。コロナ禍による1回目の緊急事態宣言下に、がん検診の原則実施延期や不要不急の外出・受診を控えるよう求められたことが、今回の登録数の減少につながったとみられる。 国がんは、20年の新型コロナ流行下におけるがん診療の状況を確認するため、20年の院内がん登録実施病院863施設、104万379例のデータを用いて分析した。施設の内訳はがん診療連携拠点病院等450施設、小児がん拠点病院6施設、都道府県推薦病院349施設、任意でデータを提出した病院58施設――。このデータは新規のがんの約72.5%をカバーする規模といい、国がん・がん対策研究所の若尾文彦事業統括は会見で、「非常に実態に近い、全体像に近いデータ」との認識を示した。 ◎5大がん 男性は胃と大腸 女性は乳房と胃で登録減少 20年の登録数は594施設で計6万409件減少していた。この施設数は前年と比較可能な831施設の7割超に相当する。施設によって減少幅にバラつきはあるものの、がん診療連携拠点病院等では平均5.3%減となり、全体の4.6%減と比べると減少幅は大きかった。この理由として、新型コロナ患者をより多く受け入れた施設が多かったためと推察されるとしている。 がん診療連携拠点病院等における5大がん(胃、大腸、肝臓、肺、前立腺(男性)/乳房(女性))の登録数をみると、男女とも肝臓はほぼ横ばいだったが、特に男性は胃と大腸、女性は乳房と胃で登録数が減少していた。男性の胃がんは20年4万7220件、19年5万3238件、大腸がんは同6万188件、6万4569件――。女性の乳がんは同7万8954件、8万2445件、胃がんは同2万337件、2万3237件――だった。 ◎胃がん発見経緯 自覚症状などでの診断例11%減 検診での発見24%減 16年~20年の5年間全てで院内がん登録に参加した病院735施設を対象に診断月、発見経緯、病期などについて16~19年の「4年平均」と20年を比較した。20年の登録数は4年平均と比較して1.4%減、他施設で診断されて自施設で初回治療を開始した例は1.5%減だった。 がんの発見経緯について、男女とも減少幅が大きかった胃がんを見てみる。20年の胃がんの登録数7万6756件のうち、自覚症状などによる診断例は6万2604件だったが、4年平均と比較すると11.0%(7769件)減少していた。がん検診等での発見例は1万4152件で、4年平均と比較すると24.3%(4538件)の大幅減となっていた。月別では、1回目の緊急事態宣言が発出されていた20年5月の減少幅が特に大きく、自覚症状などによる診断例は4年平均の5月と比べて35.3%減、がん検診等での発見例は同60.3%減だった。 1回目の緊急事態宣言の際は、未知のウイルスということもあり、同宣言下でのがん検診は原則実施延期との政府方針が出され、不要不急の外出・受診を極力控えることも求められた。この影響が今回の結果に反映したとみられる。 ◎大腸がんの病期別登録数 0期8.8%減、I期5.9%減、IV期0.4%減 病期別登録数について、18年~20年の大腸がんを見てみると、0期は20年が3万1105件、18年及び19年の2年平均と比較して8.8%(3003件)減、I期は同2万2611件、5.9%(1426件)減、II期は同2万2251件、4.6%(1077件)減、III期は同2万2009件、4.2%(963件)減、IV期は同1万7753件、0.4%(73件)減――だった。比較的早期のがんで登録数の減少幅が大きいことがわかる。なお、全ての病期で5月に大きく落ち込み、その後、登録数の回復傾向がみられた。 国がん・がん対策研究所がん登録センター院内がん登録分析室の奥山絢子室長は会見で、「大きな傾向として、早期がんを中心に登録数の減少幅はやや大きかったといえる」と述べ、大腸がんに限らず、全体的な傾向として早期がんでの登録数が減ったと報告した。 ◎早期発見の遅れによる生存率への影響 「現時点ではわからない」 国がん・がん対策研究所がん登録センターの東尚弘センター長は、早期発見が遅れたことによる今後の生存率への影響について、「現時点ではわからない」と強調し、21年以降に進行がんが増えたかどうかなどのデータを確認・分析する必要があるとした。 ただ、一般論として、「診断が遅れれば、早期発見よりは治りにくいとは言える」と指摘。20年に比べて現在は、多くの医療機関で感染対策が十分に取られ、ワクチンも普及しているとして、「エビデンスのあるがん検診の受診や、自覚症状がある場合は早めに医療機関を受診してもらいたい」と述べた。 ◎厚労省・岩佐がん対策推進官 「がん検診などの必要な受診は不要不急の外出に当たらない」 会見に同席した厚労省健康局がん・疾病対策課の岩佐景一郎がん対策推進官は、「(登録者の減少は)がん患者そのものの減少に起因するものではなく、コロナ禍に伴う影響で、早期がんを中心にがんの発見数が減少したものである可能性が高いと捉えている」との認識を示した。 厚労省としても現在は、がんの早期発見・早期治療のために、がん検診の受診や症状があった場合の医療機関受診を推奨する立場だと説明。「受診行動への影響を最小化するために、がん検診などの必要な受診は不要不急の外出には当たらないと改めて強調したい。これを明確にした形で、がん検診等の受診勧奨を進めたい」と述べた。

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希少疾患に核酸医薬、日本新薬など 個別化医療の道も

遺伝子の異常によって起きる希少疾患の治療を「核酸医薬」が切り開こうとしている。原因の遺伝子に合わせて自在に設計でき、究極的には1人の患者に特化した治療もできるからだ。米欧だけでなく日本でも実用化に向けた動きが始まった。ただ普及するには規制緩和や費用負担の議論が必要だ。 日本新薬は11月、仏企業が開発する核酸医薬の新薬候補を国内向けに導入するオプション契約を結んだ。筋肉の先天的な異常で筋力が低下する小児の難...

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