今思い出す、レジェンドMR

今思い出す、レジェンドMR

「思い出すレジェンドMRの人たちについてのあれやこれや」

令和の時代に入って、「レジェンドMR」など、もう生まれないだろう。

各社、属人的な営業よりも、薬のエビデンスと誰が担当しても大きな違いがないような営業システムができている。新人もベテランもシステムの前では変わらない。

その典型が、オンラインMRだ。

今さら、「レジェンドMR」が出ても困るのだ。

かつて、「レジェンドMR」は、憧れだった。

コンプライアンスもゆるく、「人間力」が問われた、時代、各MRは、どうやってドクターと親しくなって、食い込むか、そのことばかり日夜考えていたはずだ。

「薬を売る前に自分を売れ」とは、先輩や上司からよく言われた言葉だろう。

レジェンドといえば、真っ先に思い出す、病院に住んでいた某MR。

大学病院を担当していた時代、その病院に恐ろしく強い担当者がいた。

早朝訪問は毎日当たり前、夜も遅くまでいた。昼間は駐車場で寝ているようだった。訪問規制のない時代だから、どの科にいってもその担当者はいた。忘年会や納涼会、医局の旅行案内のFAXまで、そのメーカーの担当者から送られてきた。この人は、いったい何なんだろうと思った。病院のスタッフなのかと。今の時代にはありえないが、典型的な営業マンだった。

あるいは、地方を担当していた時代に、どんな情報にも精通していて、薬審の内容や、病院の人事も把握していたスマートな若いMRがいた。聞けば、事細かく教えてくれる。

親切というか、よほど自信があったのであろう。次々と新採用を決めてあっという間に転勤していった。

聞けば、駅伝のランナーだったとか。とてもかなわないと思ったものだ。

 レジェンドといえば、「これからは、WEB講演会の時代がくる」と、まだまだ、ITが普及していない時代に会社を退職し、WEB講演会の会社を起業した先輩がいた。

慧眼というか、ベンチャー企業を立ち上げる猛者は、30年先が見えている。

レジェンドは難しいが、プチレジェンドなら今でも生まれるかもしれない。

コロナ禍で訪問が規制され、コンプライアンスがあって、「何かすることよりも、動かない方が安全」と思っている者もいるだろう。しかし、どっこい、今も面会しているMRはいる。医局に入って病院の説明会の予約を一年間おさえてるメーカーも存在する。

こんな時代にも獣道はあるのかと、つい先日、思い知らされた。

規制がある時代だからこそ、寡占状態が生まれる。できないと思っているのは、案外、自分が、見えていないだけなのかもしれない。

2023/11/24