【コラム】理想の上司とはなんだろうか

「永遠のテーマである理想の上司について考えてみる」

今年もまた、明治安田生命保険が実施した毎年恒例の「理想の上司」ランキングが発表された。2023年の新入社員を対象に実施したところ、男性上司1位は、「内村光良」、女性上司1位は、人気アナウンサーの「水卜麻美」だった。

2位は、「櫻井翔」と「天海祐希」、3位は、「桝太一」と初の「アンミカ」だった。

なるほど、人気投票と言ってしまえばそれまでだが、私はこの発表を見るたびに、いつも、何とも言えない違和感を覚えていた。

別に、「内村光良」が「出川哲朗」でもかまわないし、「水卜麻美」が「冨永愛」でも一向にかまわない。というか、むしろ、徳川吉宗を好演した「冨永愛」こそ、「理想の上司」と思えてしまうが、要は誰が、なっても構わないのだ。

私は、34年間、のべ14人の上司の下に仕えていたが、そもそも、「理想の上司」など存在しただろうか。

自分にとっての、「良い上司」とは、「良い評価を与えてくれた上司」、悪い上司とは、「思うような評価をしてくれなかった上司」にしかすぎない。

無論、親身に相談に乗ってくれて有難かった上司もいたが、私にとっての「良い上司」が、他の人にとって「良い上司」とは限らない。

相性もあれば、好き嫌いというのもあるだろう。

そもそも、存在しない「理想の上司」を求めることこそ、令和の時代にナンセンスなのではあるまいか。

それは、「理想の花嫁」は「竹下景子」と言われ続けてきた、昭和の時代感覚と何ら変わらない。

新入社員に「理想の上司」像を想像させて、現実と理想のギャップを体感させるなど、ゆめゆめあってはならない。

また、部下をもつ管理職が間違っても、「内村光良」を追い求めてはならない。

個人事業主で数億円稼ぐ、一匹狼のタレントが、「理想の上司」になるわけがないのだから。むしろ、「理想の部下」を想像した方が、はるかに実践的だ。

誰からも好かれる「理想の部下」など、果たして

いるのかなと思ったら、「理想の新入社員ランキング」というものがあったのだ。

男性1位は、「大谷翔平」、女性1位は「永野芽郁」、2位は、「神木隆之介」と「上白石萌音」、3位は「藤井聡太」に「福原遥」だった。

大スターの「大谷翔平」や「藤井聡太」を新入社員に置き換えてしまう感性を疑うが、結論から言えば、「理想の上司」も「理想の新入社員」も所詮は幻想にすぎないことがよくわかった。

2023/10/26