2023年の今、接待の功罪について考える」
「接待が廃止になって11年、今、接待の功罪について考える」
久しぶりに会った元MRの同期から、「最近の若い医者の処方が、あまりにも古いというかアップデートされていないので愕然とした」と言われた。
私もたまに行く皮膚科でもらう抗生剤の処方が30年前の処方、つまり、「昭和の処方」で驚いたことがある。
若い医師はとにかく忙しい。当然、新薬のことなど後回しだ。
その同期曰く、「昔は接待で研修医や若手を集めて新薬についてレクチャーした、接待は少なからず意味があったんだよな」。
今では、もちろん禁じられているが、接待は説明会を兼ねることが多かった。
なるほど、すっかり忘れていた。
「接待が処方を誘導し、医師と製薬会社の癒着を生んで」と諸悪の根源のように言われたが、2012年までは面会の重要なツールであり、若手医師や忙しい急性期の医師にとっては、接待の場でしか薬を知るすべがなかった。
では、2023年の現在はどうか。
訪問禁止の病院はコロナ禍で増え、メールやアポイント、デジタルツールを駆使しても、面会できない医師は一定数以上いる。
そういう、医師の処方が「昭和の処方」になっていてもおかしくない。
最新の治療が受けられない。製薬会社にとっても不幸だが、患者さんにとっても気の毒だ。
もとより、接待を復活してほしいと言っていない。
接待に替わる、面談方法、情報伝達ツールが、接待廃止後11年たってもできないのだ。
よって、WEB講演会が各社乱立し、MRはメール送信に追われて、医師のPCにはジャンクメールが山のようにたまってしまうという悪循環を生む。
つまりは、MR不要論という結論に至る。
医師の本音を引き出し、処方動機をつかんで、処方促進につなげる。
昔も今も変わらないが、会えない医師、反応のない医師をどうすればいいのかという特効薬はないだろう。
画期的な新薬があれば、勝手に医師が使うという訳でもない。
かくして、各社、暗中模索し、MRはとにかく、メール送信や架電や郵送に追われる。
医師の反応を待ってはいられない。というかなしのつぶてがほとんどだ。
さて、妙案はないが、「MR不要」に舵を切らなったメーカーが結果的には生き残っていくような気がする。なんだかんだいっても人と人のつながりが、信頼関係を生む。
そのつながりがないところに、希望はないだろう。
2023/11/24